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本田哲也のGlobal Topics

「これが、世界を動かすPR会社だ!!」~PRWeeKがグローバルPR会社ランキングを発表

本田哲也

グローバルPR会社ランキングby PRWeeK「AGENCY BUSINESS REPORT 2013」(単位:ドル)
出典:『PRWeeK』Top 10 Network Agency Revenue Estimates
*はエージェンシーから提出された数字。その他は「PRWeeK」による推定値。

グローバルPR会社の世界ランキングが5月に発表された。今回のコラムでは、このニュースをレポートしたい。最新の2013年版を発表したのは、世界有数の業界メディアである「PRWeeK」(日本で言うところの「広報会議」さんですね)。発行元のHaymarket Media社は、イギリス、アメリカ、香港を主要拠点に、世界的に展開している。このコラムの初回でも触れた「ホルムス・レポート」と並び、グローバルPR業界の権威とも言えるメディアだ。

さっそく、ランキングを見てみよう。世界1位は独立系のエデルマン(米国)で、2013年のレベニュー(売上高総利益)は約760億円。続く2位が、オリンピック招致の実績で有名なウェーバー・シャンドウィック(米国・インターパブリックグループ)で約600億円。3位に僕たちブルーカレントも属しているフライシュマン・ヒラード(米国・オムニコムグループ)で約560億円。これが、世界ベスト3のPR会社だ。以下、外資系PR会社として日本でも著名なバーソン・マーステラやヒルアンドノウルトン、オグルヴィPRなどが続く。

まずここで特筆すべきは、トップ10のうち、6位のMSLグループ(仏)以外の9社すべてが米国のグループだという事実だ。いかにPRというビジネスをアメリカが独占しているか、あらためて実感するんじゃないだろうか。実際、上位3社ではグローバル売上に対して米国内売上が6〜7割程度を占めている。グローバルなPR活動に対する報酬の半分以上は米国で計上されている(お金を払うクライアントの大半は米国内)ということで、米国系の企業や組織が、世界的な世論を相手にしていることがリアルにわかる。世界で働く従業員数に目を向けると、1位のエデルマンで4600人ほど、以下おおよそ3000人程度で推移している。

さて、世界的なPR会社の売上規模を見るときに、日本人が気をつけなければいけない大事なポイントがある。それは、開示される売上の世界標準は「ネットレベニュー(売上高総利益)」であるという点だ。ネットレベニューのほとんどは、報酬としてクライアントから支払われる「フィー」の総計であり、業務遂行に付随するイベントやキャスティング、メディアバイイングなどの「実費」は含まれない。日本で売上といえば「年商=扱い高」であるのとは対象的だ(ちなみに、電通の売上高総利益は5940億円=グループ連結・2014年3月期)。つまり、エージェンシーにとっての価値は「扱い高」ではなく「フィー」でしかない、という基本発想にもとづいている。まだまだ「フィー」の理解に乏しい日本。1日も早く世界標準に追いつくべきだろう。では、また来月!

本田哲也(ほんだ・てつや)

ブルーカレント・ジャパン代表取締役社長/米フライシュマン・ヒラード上級副社長兼シニアパートナー/戦略PRプランナー。1970年生まれ。主な著書に「戦略PR」「ソーシャルインフルエンス」(ともにアスキー新書)など。フライシュマン・ヒラードは世界中に100拠点以上を持つ大手PR会社。

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