社内外との橋渡し役である広報にとって、チームプレーは活動の要。日本コカ・コーラの広報責任者を経て、現在オムロン コーポレートコミュニケーション部部長を務める井垣勉氏に、広報主導の強いチームづくりのポイントについて聞いた。
個々の役割の明確化を
広報は「社内外をつなぐプロデューサー的な役割が求められる」と話す井垣氏。広報への期待と重要性が増した最近では、社内で広報の立ち位置を明確にすることや、従来以上の成果を求められることが多く、「広報として強いチームを作ることは不可欠」と話す。
現在、井垣氏が統括するオムロンコーポレートコミュニケーション部は、プレス対応担当のチーム(6人)、社内広報担当のチーム(4人)、宣伝やデジタルメディアなどを担当するチーム(7人)の3グループからなる合計17人で構成される。昨年2月に着任した井垣氏がチームを作る上で最初に取り組んだのが、個々の役割の明確化。それまではプレス対応や社内広報も兼任で動くことが多かったが、それぞれのチームの役割を明確にし、個々の責任を割り振った。
「役割を分けることでそれぞれの責任が明らかになり、組織もフラットになる。また、一つのことにチーム全員が取り組むのは良くないと考えています。それは何かが起こった時に余力がない状態を生み出すから。チーム全員で大きなことに取りかかろうとすると、全員が疲弊してしまう。例えば、クライシスが起きた場合。全員でリスク対応をするという状況に陥ると、それ以外の仕事が完全にストップしてします。幅広いステークホルダーを相手に複数の仕事を同時並行で仕上げていくべき広報部門としては、このような状況は避けなくてはなりません」。
また、「自分たちがどういった付加価値を生み出すことを求められているのか」ということを全員で共有し、ビジョンを統一することも重要だ。「若手や経験が浅い人も同様に、基本的には“この仕事はあなたに任せるから、好きなようにやってみて”と、ある程度自由度をもって任せるようにしています。一連のプロセスを任せてみることで、個々の持ち味を見極めることができますし、それぞれが“自分の仕事”として、能動的に…