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「テルマエ・ロマエⅡ」「大ケロロ展」にも登場。ケロリン流のコラボPRとは?

内外薬品 取締役 東京支社長 笹山敬輔

4月に発売した『ケロロ軍曹』とのコラボグッズ第二弾はストラップ。映画『テルマエ・ロマエⅡ』上映館のほか、ツイッター上で交流のあるニッセンのECサイトでも販売。初回生産分が数週間で完売するなど好評だ。

4月26日に公開された映画『テルマエ・ロマエⅡ』の劇中、黄色い「ケロリン桶」が登場するシーンがある。これは企業が広告費をかけて映画の中に商品を露出させる、いわゆる“プロダクトプレイスメント”ではない。製作サイドが銭湯のシーンを描くにあたり用いた小道具であり、日本のお風呂を想起させるアイコンとしての役割を果たしている。鎮痛薬の「ケロリン」を扱う内外薬品(富山市)にとっては費用ゼロ、図らずも絶好のPRの場となっているのだ。

同社東京支社長の笹山敬輔さんによれば、看板商品である「ケロリン」の名を冠した桶は1963年に生まれた。「当時は、銭湯や旅館で使う木桶が合成樹脂の桶に切り替わるタイミングだった。そこで広告会社から提案を受けて、ケロリンの名入りの桶の納入を始めました。実は1925年にケロリンを発売した当初から、PRできるニッチなスペースを発掘しては広告を出し続けていた歴史もある。そういうユニークなチャレンジに積極的なDNAが今でも受け継がれています」。

桶のほかにも、東京タワーの入場券の裏側、駅階段の側面、野球場のゴミ箱、はたまた映画館に電話をかけて「ケロリンの○○さん...」といった呼び出しのアナウンスを依頼するなど、既存の媒体に捉われないPRを続けてきた。それも単に奇をてらったわけではなく、背景には製薬会社特有のコミュニケーション課題がある。

「誰しも薬を飲まずに健康でいられることが一番幸せですから、薬という商品は“買っていただいてありがとう”とは言えないんです。だからこそ、『ケロリン桶』というアイテムを通してお客さまとコミュニケーションする意義があるし、エンターテインメント性の高い企画を実現できるのだと思います」と笹山さん。

そんな同社が2013年から力を入れているのが、公式ツイッターを通じた異業種コラボ。ケロリンと名前が似ていることから昨春、KADOKAWAの人気漫画『ケロロ軍曹』のツイッターアカウントと交流が始まったのを機に、昨年7月には「ケロロ×ケロリン桶」を発売。予想を大幅に上回る三万個を売り上げている。さらに4月には第二弾となるストラップも登場するなど、一連の企画はメディアの関心を集めた。その結果、通常は年間で5件ほどの取材件数がこの一年で十数件に増加。想定外の波及効果を生み出している。

「メディアに出ることで、老舗のケロリンが今も“現役”のブランドなんですよ、とアピールできる。だから絶対に取材の依頼は断りません」と笑う笹山さんだが、本社のある富山と東京を往復する多忙な日々のなか、文学博士として大学で教鞭をとるという一面も。「近年は富山の土産店でもケロリン桶やコラボ商品がよく売れています。北陸新幹線の開業で盛り上がる来年度は、ますますケロリンの存在感をより高めていければ」といい、地元でさらに強力なケロリン旋風を巻き起こすチャンスが間もなくやってくる。

写真提供:SKIPマート(運営/グッドライフ)

現在開催中の「大ケロロ展」(8月31日まで)の会場、SKIPシティ(埼玉・川口市)でもグッズを販売中。

内外薬品 取締役 東京支社長 笹山敬輔氏(ささやま・けいすけ)

1979年富山県生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科修了。博士(文学)。08年より現職。近著に『幻の近代アイドル史』(彩流社)がある。

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