2014年3月、東証マザーズへの上場を果たしたディー・エル・イー。ユニークなコンテンツやキャラクターを生み出してきた椎木隆太社長は、「企業のPRも“ギャップ”が許容される時代になった」と変化を捉える。
ディー・エル・イー 代表取締役 椎木隆太氏(しいき・りゅうた)
1991年4月ソニー入社。ベトナム・ハノイ支社長などを経てSPEビジュアルワークス(現ANIPLEX) 海外ライセンス部門長就任。2001年にDLE設立。日本のアニメ業界では初の米国プロデューサー組合会員。福岡県知事顧問。
「ファスト」型の制作モデルとは
ソニーを経て2001年にディー・エル・イー(以下、DLE)を設立して以来、『秘密結社 鷹の爪』など多数のコンテンツを生み出してきました。現在は『鷹の爪』を筆頭に『パンパカパンツ』『おにくだいすき!ゼウシくん』など多数のキャラクターが所属していることもあり、経営者としてメディアの前でコメントをするときは少し緊張しますね。「あのキャラクターを生み出した企業のトップのコミュニケーション力って、こんなレベルなんだ」って思われたらどうしようかなと(笑)。
DLEのキャラクターは企業とユーザー、あるいは制作者と視聴者とのコミュニケーションを円滑にするために存在しているので、少なくとも経営トップである自分自身もそういう存在でありたい。上場した今は、特にそう思いますね。時々、つい熱くなって同じような内容を何度も語ってしまうことがあるので(笑)、なるべくシンプルに話そうと心がけています。
僕らが主に制作している作品はFLASHというデジタル技術を活用し、短時間で低コスト、かつ短いコンテンツを大量生産するというスタイル。その狙いは予算を抑えるだけでなく、世の中と対話しながら、より楽しんでもらえる映像エンタテインメント作品を仕掛けることにあります。
通常の映像作品は構想に何年もかけて、一度制作したらやり直しがきかない前提で生み出されますよね。でも僕らが提唱する「ファスト・エンタテインメント」というものは、とにかく短期間で制作して視聴者の反応やネットユーザーの声を見ながら次のコンテンツに生かしていくというスピード感とともに、企画と制作、反響や効果の検証といったPDCAサイクルを回していく流れを重視しています。
特に2000年代後半から ...