深く一つの産業を扱う専門メディアに対し、各産業の動きを網羅的に伝える産業経済紙。一般メディアに比べ、より深く経済ニュースを追うこれらのメディアといかに付き合うべきか。ここでは『フジサンケイビジネスアイ』編集長の関根秀行氏に、その編集方針を聞いた。

フジサンケイビジネスアイが今後注力するのは、「アジア・アフリカ」「エリア(地域)」「Arrow(安倍政権の成長戦略)」の“3つのA”だ。
産業界応援DNAを持つ新聞
フジサンケイビジネスアイのルーツは日本工業新聞という媒体です。2004年の産経新聞社による100%子会社化で「フジサンケイビジネスアイ」となりました。
日本工業新聞は1933年に創刊され、第二次世界大戦中の新聞統合令で産経新聞への改題に伴い休刊します。終戦後、産業界から日本の産業の指針を示すような新聞を望む声があがり、産経新聞社を含む主要企業約200社が出資して、58年に復刊を果たしました。
産業界の声で再スタートした経緯を持つため、企業と戦う新聞というよりも、どちらかというと企業の良い面を見出して応援していきたいという思いが媒体のDNAとしてあると思います。他紙が反応を示さないようなリリースでも、その中に潜む、磨けば光る原石を見出そうと取材に行きます。たとえ不祥事を起こした企業でも、その企業が優れた技術や優秀な人材を持っていれば、特集や連載を組んで立ち直りを応援したい。そういう立ち位置で日本の産業促進に貢献する媒体でありたいと考えています。
現在、月曜日から土曜日の発刊で、15万1000部(公称)を発行しています。読者の90%以上は企業で、そのほとんどが首都圏や近畿圏の大企業ですが、最近では地方の中小企業や、ベンチャー企業の若い読者も増えています。