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知的財産を巡る紛争に、広報はどう対応すべきか

アップル×サムスン訴訟に学ぶ、拡大市場の特許問題

TED知的財産法研究会

広報活動の中で常に隣り合わせとなる法律が「知的財産」にまつわるもの。はっと気付いた時、「時すでに遅し」とならないよう、日頃からしっかりとポイントを押さえておく必要がある。今回は特許侵害について考える。

意地やプライドも入り交じりながら、未来のITの主導権を巡る両社の戦いはしばらく続きそうだ。

1.はじめに

世界の多くの国(米国、韓国、ドイツ、イギリス、フランス、オランダ、オーストラリアなど)で、米国のアップル社と韓国のサムスン社が特許侵害をめぐって訴訟の場で争っています。アップル社は、サムスン社のスマートフォンGalaxy(ギャラクシー)がアップル社の特許を侵害していると主張しています。一方、韓国のサムスン社は、アップル社のiPhone やiPadがサムスン社の特許を侵害していると主張して、同じく訴訟の場で争っています。わが国においても、両者間の訴訟が提起され、争われています。

では、何故このように、世界の各国で、両者間で訴訟が起きているのでしょうか。最初に、その背景について考察することにしましょう。

2.特許紛争の背景

化学、薬、バイオの分野の場合、一つの製品において使用される特許の数は、通常1~数個といわれています。これに対して、通信、半導体などのいわゆるIT(情報技術)やICT(情報通信技術)の分野では、一つの製品に使用される特許の数が数百から千以上になることも珍しくありません。したがって、情報通信技術の分野では、他社から特許のライセンス(利用許諾)を受けることが避けられません。しかし、このライセンス交渉を個別で進めることは容易ではありません。

一方、たとえば通信などの場合、通信各社が異なる方式を採用すれば、各社間の通信が困難になるばかりか、同じような技術を別々に開発するため、技術全体の発展を阻害する要因にもなりかねません。このような問題の解決の一助として登場したのが、「パテントプール」、すなわち、技術を標準化し、標準化された特許を一つの枠組みのなかに集積して、共通に利用するという考え方です。

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