自社のメッセージを、より強く打ち出したい――。異業種が集まる対話型セミナーや新雑誌創刊で、これまでと違う社の姿をPRする取り組みを紹介する。

ビデオリサーチは、「提供から提言まで」をミッションとし、視聴率調査をはじめとした各種メディア調査のほか、個別の顧客ごとに独自調査を実施・分析し、各クライアントの課題解決を行っている。2012年に創立50周年を迎え、この先の50年の方針を検討する中、課題として浮上したのが、顧客の課題を解決する「提言力」をどう高め、それをどうアピールするかだ。
コーポレートコミュニケーション室の青山隆一氏は振り返る。「当社の中にも、顧客に深く入り込んで提言できる人はいました。しかし、絶対数は少なく、会社全体のアウトプットの質はデータ提供にとどまり、そこからさらに提言する力はまだ弱いという問題意識がありました」。単純にデータを提供するだけでは、顧客との関係も先細ってしまう。50年先も選んでもらう企業であるため、課題解決できるパートナーだというメッセージを発信できないか――。
異業種にこそヒントがある
そこで、取り組んだのが「業界を越えた課題解決のための場づくり」だ。アイデアの元となったのは、営業時代の経験。青山氏は、さまざまな業種の広告主を担当する中で、複数の業界に通じるテーマでは業界をまたいで意見交換したほうが、より有益なのではないかと感じることがよくあったという。
「業界は違っていても、本質的な課題は似通っていることがよくありました。そして、悩んだ時のヒントは、同業種よりも、むしろ異業種の取り組みにあることもよくあります。それなら、メディアや広告主などの業種・業界の違いや受発注の関係性を越えて、課題を共有し、共に解決していくきっかけになる場を作りたいと思うようになりました」(青山氏)。