日本唯一の広報・IR・リスクの専門メディア

           

BtoB企業の話題のつくり方

話題になった「ロボット×人間」の卓球勝負、技術PRには課題も

瀧口範子(フリーランス・ジャーナリスト)

自社の技術を広めるにあたり、PR主導の考えにありがちな"広く浅い"情報発信だけでは「もったいない」ということも。

今年3月に注目を集めた、ドイツの産業ロボットメーカー・クカ社による、人間とロボットとの「卓球試合」。世間から大きな注目が集まったが......。

先だって、ドイツの産業ロボット・メーカーが、せっかくの一般消費者へのアピールの機会を無為にしてしまったことが話題になった。このメーカー、クカ社はドイツを拠点にするヨーロッパ有数のロボットメーカーで、製造業界では誰もが知る世界的なメーカーだ。

同社は、今年3月にドイツの卓球チャンピオンであるティモ・ボルと同社ロボットとの卓球試合を行うと発表。いよいよロボットと人間がスポーツ試合で対決する時代になったのかと、卓球ファンやロボット・ファンを沸かせた。予告ビデオでは、同社が世界最速と誇るロボット・アーム「KRアジラス」が卓球のラケットを握り、向かい合ったボルと闘志のまなざしを交わしている様子も伝えられた。3月11日という試合日程まで、そこには記されていた。

ところが、当日に公開されたのは、最終的にはボルが勝利を収めたという試合の、かなり作り込まれたビデオだったのである。確かにロボットとボルが激しく打ち合う一場面も記録されていて、前半ではロボットに押され気味のボルの苦悩まで伝わってくる。だが、4分足らずのビデオがいい場面だけを抜粋してドラマチックに編集されたことは明白で、ひょっとすると試合の全編を見られるのではないかとも期待していたファンたちはがっかりしたのである。

あと49%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

BtoB企業の話題のつくり方 の記事一覧

創刊号は『編成魂』、ビデオリサーチが新雑誌を創刊した理由
月200人の視察が入る、注目の地下工場
アポなし訪問もOK、オープンなオフィスで受注件数3倍に
ドバイの砂漠で野菜が育つ!?「仕掛けて待つ」BtoB企業の注目の集め方
コマに込めた技術で勝負!NHKが密着した製造業のコマ大戦
実はお得!?BtoB企業のグローバル規模のプレスツアー
話題になった「ロボット×人間」の卓球勝負、技術PRには課題も(この記事です)
情報番組プロデューサーに聞く、取材したくなるBtoB企業のポイント
トヨタ車の力強さ示した、スペースシャトル輸送計画

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
広報会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する