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時事ニュースから読み解く、危機対応の本質

NHK新会長の大バッシングはなぜ起きたのか

城島明彦(作家・ジャーナリスト)

危機を乗り越えるための対応方法は、世間を賑わせる時事ニュースの中から学べる点が多くある。取材される側と取材する側の両方を経験し、広報業界を30年以上見続けてきた作家・ジャーナリストが、危機対応の本質について解説する。

攻めは強いが、守りは弱いメディア

企業には照る日もあれば曇る日もあるので、広報は「攻め」も「守り」も強いのが理想だが、なかなかそうはいかないのが現実だ。メディア側から見ると、「攻め」を得意とする広報が「守り」に回ると弱さやもろさを露呈することが多い。

一方、メディアはというと、テレビも新聞も雑誌も「攻め一本槍」で、言いたい放題、書きたい放題といえる。そんなメディアが、万が一にも「守り」に入らなければならないときは、危機に直面したときだ。メディアは攻めることしかやっていないので、守りはからきし弱い。横綱格のNHKも例外ではなく、1月25日の新会長就任会見に端を発した“一連のドタバタ劇”は、それを地で行く事件だった。

「危機管理」に対する甘さに問題

昨年12月5日にNHKの松本正之前会長が退任表明し、年明けの1月20日の経営委員会で籾井勝人元三井物産副社長を新会長に選出。続いて先述した1月25日にNHKの渋谷の放送センターで就任記者会見が開かれたのだが、これが「従軍慰安婦問題」などに関する発言をめぐって、とんでもない修羅場と化す。同じメディアである毎日新聞の記者などに攻めまくられ、防戦一方に陥る失態を演じてしまったのだ。準備期間が短すぎたとはいえないが、新会長が異業種出身で放送業界に精通していなかったことを考えると、広報は記者発表での危機管理に関するノウハウを徹底的にレクチャーすべきだった。その点、NHK広報に致命的な抜かりがあった。

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