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基礎からのIR講座

上場企業のIR業務立ち上げ、まず着手したのは?

前 ローソン理事執行役員 IR室長 貝沼直之

株主や投資家、アナリストとのコミュニケーション、各種ツールの作成など多岐にわたる上に奥深いIRの仕事。豊富な実務経験をもとに、IRベテランの方々にそのコツを伺います。

第1回のテーマ 上場企業でIR立ち上げ

はじめまして。3月31日までローソンで理事執行役員IR室長をしておりました貝沼と申します。このたび編集部より「基礎からのIR講座」というお題をいただきました。思えば前々職で広報・IR業務の立ち上げに携わったことがあり、そのあたりのお話からさせていただくことにします。

まずIRサイトを開設

その会社は、大分に本社があり、福岡証券取引所に上場しているジョイフルです。九州を中心に店舗展開するファミリーレストランで、元々オーナー企業ですが、経営が2代目にバトンタッチしたところで、30代前半の若手社長が業績停滞状況を打破すべく、全国各地から中途キャリア人材を採用、幅広いセクションでの改革をスタートさせました。中期経営計画を策定して、計画経営を実施することが大きなテーマであり、その企業改革のダイナミズムの中で、コーポレートブランドのイメージアップとともに、上場企業として、より株主、投資家にアピールするために、広報室を立ち上げることになったのです。また小売・外食上場企業なのに月次既存店売上高を開示していなかったIR業務に関しても、私のアナリスト経験を生かして本格的に実施することになりました。

私が着任早々に取りかかったのが、IR専用サイトの開設です。すでに上場から10年ほどが経っていましたが、IR専用サイトはなく、オフィシャルサイトに数ページが割かれている程度でした。上場することそのものが大きなゴールであり、上場後については、経営者の多忙、人員不足の状況の中で、IR活動は後手に回らざるを得なかったのです。そんな中、私が手がけたIRサイトの開設は、ひとまず、できるところから経営情報をディスクローズしていくための手段でした。

IRサイトの制作と同時並行でやるべきことは山積していました。そのひとつが、月次売上高伸び率の開示フォーマットの作成です。経営と何度もやり取りしながら万全を期したつもりでしたが、開示の日付を少しランダムにしていたため、後日、株主総会で株主に発表日を統一してほしいと指摘されるという苦い経験を思い出します。

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