スタンダード広報部にも、クライシスが訪れた。緊急記者会見に臨んだのは社長ほか経営陣。カメラのフラッシュを浴びながら、その場は乗り切った様子。どの企業も迎えたくない事態だが、いざという時では遅い。事前のトレーニングは待ったなしだ。
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緊急記者会見が終わり、記者が静かに帰るのを見て、ホッと胸をなでおろす広報部長とメディアリレーションズ担当。
2013年も相次いだ不祥事。広報担当者は他社の広報対応を自らのことと重ねて見守ったのではないだろうか。
実際に緊急記者会見を経験したことがある企業は、全体の24%。大多数が経験している訳ではないが、全体の4分の1に上る。また、広報のリスク管理マニュアルがあると答えた企業は68%と全体の7割。3割は、有事の際に、情報収集、情報伝達を誰が誰に対し、どのような順番で行うのか、その手続きを明文化していない。また、マニュアルをもとにした研修を実施しているのは51%と半数に留まっている。
では実際に、どのような手続きを想定しているのか。担当者の声を聞くと、その対応には社によって大きく2つの違いがある。1つ目は、「リスクの度合い」による対応方法をどのように変えるか。多かった回答は、「リスクの度合いが大きい場合には」と前置きをした上で、緊急対策委員会や危機管理委員会の発足、その後の情報伝達フローが整備されているというもの。小さい場合は、担当者や上司レベルで判断するというが、その線引きは難しい。一方、「リスク発見者はその大小にかかわらず、『総合リスク対策委員会等』の事務局に上長を経由の上報告。事務局は関連する主管部門、委員長などに報告し、委員長が対策の指示を行う」(食料品)のように、コンプライアンス部門を窓口に、どんな小さなリスクの芽も専門部署が対応する体制をとる企業もある。