現在、日本も関わるWTOやTPP。これらは全て多国間協議だ。交渉対象が複数国化する世界のパブリックアフェアーズ環境。ここでは、EUからグローバル時代の対応策を学ぶ。
EU 各機関の法案制定関係
EUでは、法案策定までのプレーヤーが多岐にわたる。これらの関係を覚えて働きかけることが重要だ。
パブリックアフェアーズ(PA)とは、政府関係者に直接働きかけるロビイング活動に、マスコミなどを活用したPRのコミュニケーション活動を統合したもの。政府の政策決定や法律・規則の制定に影響力を行使しようとするのが目的である。
従来は、政策の決定者が限られていたので、ピンポイントで働きかけることが可能であり、ロビイングは比較的単純な活動だった。しかし、政治の民主化と経済のグローバル化が進んだ現在では、決定プロセスの透明性はもとより、利害関係者も多岐にわたっており、世論形成は複雑になっている。そうした中で、より公正・公平でかつ効果的なコミュニケーション手法としてPAが重要になってきている。
こうした環境の変化とロビイング活動の潮流を読むには、欧州連合(EU)が最適である。ファッションをはじめ、ヨーロッパの環境規制や人権問題の流れは、米国や日本など海外に大きな影響を与える。関税の撤廃に始まったヨーロッパの共同体市場が、今の世界貿易機関(WTO)や自由貿易協定(FTA)の流れを推進してきているという事実からも明らかである。
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