企業の宣伝広報からNGOの広報まで、幅広い経験を積んできた片岡英彦氏は、これからの企業コミュニケーションの中核にパブリックアフェアーズを据えるべき、と話す。
企業のマーケティングコミュニケーション
デジタル技術の普及により、純広告を中心としたマスマーケティングは、特に4つの方向から「アプローチ」を受け、相対的にパワーが弱くなっていると言われている。その一方でPRのチャネルとして既存のメディア以外の他の選択肢(パブリックアフェアーズ)の充実が求められている。
初めて「パブリックアフェアーズ」という言葉を耳にしたのは、かれこれ10年以上前になる。外資系のタバコメーカーの「パブリックアフェアーズ」担当という方とお会いした時だった。「どのようなことをされる職種なのですか」と恥ずかしげもなく伺った。「ご存知の通りタバコ業界では、プロモーション、プロダクト、プレイスメント、プライスに厳しい規制があります。従って、官公庁やその他ステークスホルダーへの『渉外活動』を通じ、『分煙』や『喫煙ルームを作る』などの働きかけを行っています」という答えだった。
当時の私の感想は「あー、確かにいわゆるマーケティングの『4P』のほとんど全てに規制がかかる。既存のマスマーケティングでのアプローチは難しい。だから『渉外』という一見『ジミ』な活動を通じて社会的に『理解』してもらうことが大切なのか‥‥‥」と「パブリックアフェアーズ」=「渉外活動」とインプットされた。
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