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社会の合意を得る方法

5517万人が使う署名サイトに学ぶ、社会の動かし方

ハリス鈴木絵美(Change.org)

化粧品会社は動物実験をやめて。北大の伝統行事を復活させて。イシューへの賛同を集める署名サイト「Change.org」が人気だ。日本代表のハリス鈴木絵美さんに社会の変え方、世論の巻き込み方を聞いた。

署名は、民主主義の原点であり、市民にとっては意志表明のファーストステップです。「Change.org」(以下、チェンジ)は、オンラインで署名を集めるというのがユニークなところです。「書いたら終わり」の街頭署名と違い、オンライン署名はメールアドレスが登録できます。これを使って発信者は賛同者にキャンペーンの経過や成果を報告することができ、時にはさらなるアクションを呼びかけることもできます。いわば、一つのイシューに関心を持つ小さなコミュニティが出来上がっているわけです。ワンクリックで、次は手紙を書きましょう、ボイコットしましょう、と呼び掛けられます。

2012年夏にチェンジの日本版立ち上げのために帰国した際、ちょうど脱原発デモが盛り上がっていました。私は担当者に「あの署名リストは誰がどのように管理しているのか。メールアドレスはどのように使うのか」と聞きましたが、誰も満足のできる答えを返してはくれませんでした。それを聞いて、とてももったいないと感じました。その人たちは、「署名するために署名した」わけではありません。脱原発という目標があり、その目標を達成するために署名したはずなのに。このことに代表されるように、日本の市民活動には、テクノロジーをフルに活用できていない場面がたくさんあります。

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