プレスリリースはあくまでメディアに向けたアプローチ手段で、企業の公式発表資料――。一昔前までは、それが大前提とされていたが、SNSが普及し、どんなPR施策においても「ウェブ上でいかに情報を広げるか」という点が大テーマである現在、その概念は崩れつつある。
情報源(プレスリリース)からの情報の広がり
「ミドルメディア」で拡散狙う
企業サイトでのプレスリリース発表はもちろんのこと、ウェブ配信サービスを使ってリリースを発表する形が主流となりつつある今、"プレス"リリースはもはやメディアに向けたものだけでなく、一般生活者の目にも触れる重要なPRツールのひとつ。現にプレスリリースをきっかけにウェブ上でバズが生まれる例も少なくなく、それを期待してか、本来は客観的に事実を伝えるのが鉄則であるプレスリリースの中で主観的な売り言葉が並ぶ広告風のリリースが多く見られるようになった。「(プレスリリースは)これまでニュースとしてのアプローチが前提としてありましたが、各種SNSの普及によって、現在ではソーシャルメディアを意識したアプローチが増えてきています」と、ウェブ上の情報拡散の構造について調査を重ねる電通パブリック リレーションズ デジタルコミュニケーション室長の楠田和男氏。「ソーシャルメディアへの拡散には、いわゆる"ミドルメディア"(マスメディアと、ブログや掲示板などのパーソナルメディアとの中間に位置するメディア)と呼ばれる拡散の要となるメディアを意識したアプローチが必要になります。リリースをもとに、ウェブ文脈にあわせた切り口を加え、ミドルメディアに掲載されることで情報の広がり方が大きく変わります」。