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元「TVキャスター&内閣広報室審議官」が読み解く、あの危機の広報対応

厚生省広報室の過剰防衛による逆効果に学ぶ

下村健一(慶応義塾大学特別招聘教授)

危機が発生したとき、その後の広報対応によって世の中に与える印象は大きく変わる。本連載では、ある時はメディアの立場で多くの危機を取材し、またある時は激動の時代の内閣広報室で危機対応を行った経験を持つ下村健一氏が、実際にあった危機の広報対応について説く。

2008年4月1日から後期高齢者医療制度がスタートし、区役所の窓口で職員に話を聞く高齢者。国民への説明が不十分なまま始まったことで、さまざまな混乱を招いた。メディアによるネガティブ報道も相次ぎ、年寄りイジメの新制度、というイメージが広まる結果となった。

流行語大賞には当然ノミネートもされなかったが、2013年にメディアに登場した言葉で私の心に最も残った一言は、「バカヤロウ!」だった。みのもんたさんが、次男の逮捕問題で報道系の番組を全て降板する、と表明した10月26日の会見で、最後に放った一喝である。実に意味深だ。

かつて『おもいッきりテレビ』という番組では、みのキャスターがちょっと肯定的な言及をするだけで、その商品は即座に店頭から売り切れる、という伝説があった。その後『サタデーずばッと』・『朝ズバッ!』では、何か不始末を起こした会社や公的機関などが初動のメディア対応を誤ると、みのさんの容赦ない批判を浴びることが多々あった。そんなわけで、前者の時代には企業の宣伝部にとって、後者の時代には広報部にとって、しばしば"みのコメント"は否応なく気にせざるを得ない存在だった。

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