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話題をつくる人の考え方

「クライシスを恐れるな」JR東日本が目指す言うべきことを言う広報

東日本旅客鉄道 広報部担当部長 薬師 晃氏

カネボウ美白化粧品問題や阪神阪急ホテルズに端を発した食品偽装表示問題など、クライシスにおける広報対応の難しさを感じさせる出来事が多かった2013年。記者、社会、会社に理解される広報とは何なのか?危機管理広報のプロに問う。

山形支社で行ったお詫び会見。「トラブルは起こるもの」と薬師氏は話す。

苦い失敗から学んだこと

「人は起こしたことを非難されるのではなく、起こしたことにどう対応したかによって非難される」─そう感じさせる事例が近年増えていますが、当社にも苦い失敗の経験があります。

2003年9月27日、中央線で切換工事が行われた当時の経験です。判明したのは未明、ポイントの不具合により運転再開予定だった6時を過ぎても運転が再開できない状況になりました。プレスの第一報を出せたのは7時10分。日曜日の中央線、季節はぶどう狩りシーズン。多くのお客さまが駅に来て初めてその事実を知らされる結果となりました。それから30分後の第二報では「運転再開の見通し立たず」と案内。その後続報を提供できないまま、2時間後にようやく復旧見込みとして発表できた内容も「復旧作業にさらに2〜3時間かかる」というものでした。

事実関係の把握が十分に行えない中、運転再開直後の14時から緊急記者会見を開き、責任者による状況説明を行ったところ、会見場では役員が出席しないことを非難され、報道では危機対応が後手に回ったと指摘されました。さらに、「敗軍の将 兵を語る」という経済誌の役員インタビューでは、トラブルに対応できていないとして、管理体制の不備を指摘されました。結果として株価は急落。危機発生時のマスコミ対応いかんによっては、会社全体がさらなる危機に陥るという事実を肝に銘じておかなければなりません。

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