「広報が組織を強くする」。インタビューでお会いする広報担当者から度々聞く言葉だ。どんな時も社会に向けて自らの役割、存在意義を「広く報告する」広報の重要性は、ますます高まっている。本特集では、2013年に話題をつくった方々に話を伺いながら、広報という仕事の本質的な役割、やりがい、意義、そして楽しさを明らかにしたい。
球団創設から9年、東北楽天イーグルスが悲願の日本一を達成したことは、東北に勇気と希望を与えた。(写真/時事)
11月3日、プロ野球日本シリーズ第7戦が東北楽天イーグルスのホームグラウンド・仙台市のKスタ宮城で行われ、楽天が巨人を3-0で下し、通算4勝3敗として、悲願の日本一に輝いた。
東北楽天は創設9年目。球界再編問題の浮上により、楽天とライブドアが新規参入を申請し、楽天の参入が承認されたのが2004年11月だった。約50年ぶりに誕生した新規プロ野球球団の楽天野球団で、初参戦した2005年から広報責任者を務めたのが電通パブリックリレーションズ出身の西村亮氏。震災直前の11年1月末に退任するまでの6年間、チームや選手のPRを積極的に行い、新規参入球団の知名度を押し上げた。
その西村氏も今年、別の場所で“悲願”の達成を味わっていた。02年のサッカーW杯招致をともに成功させた日本サッカー協会の鈴木徳昭氏に請われ、東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会の戦略広報部副部長として招致に臨んでいたからだ。
企業にとどまらず、スポーツ、政治、行政などさまざまな場で、新しい組織ができる時、新しい取り組みを始める時、あるいは危機を迎えた時、そこには組織の中をまとめ、社会の声を聞き、考え抜いて動くキーパーソンがいる。話題をつくった人、仕掛け人には、そのセオリーがある。
楽天と同じく、“悲願”の五輪招致を引き寄せた招致委員会戦略広報部。副部長の西村亮氏(左から3人目)は、元楽天野球団広報部長だった。