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青山広報会議

新幹線開業でチャンス到来、北陸3県の観光PR

石川県×富山県×福井県

北陸新幹線の東京─金沢間の開通を2015年春に控え、北陸の各自治体で広報・PRが本格化している。富山、石川、福井の3県で観光や経済振興に携わる担当者が集まり、来年度に迫った開通に向け、観光誘客や産業誘致などさまざまな活用可能性、今後の変化について話し合った。

川津▶ 2015年春の北陸新幹線の金沢開業によって、東京-富山は現在の3時間11分から2時間7分と、1時間あまり短縮されます。滞在時間が増えた分、ビジネスや観光に十分時間がかけられるようになるだろうと期待しています。鉄道の輸送力は往復約600万席から、約3倍の1900万席となります。北陸経済研究所の試算によると、北陸新幹線開通で富山を訪れる人の数は年間24万人増えて約141万人になり、観光客などの増加が期待されます。金額にすると単年120億円の効果が見込めるという結果が出ました。もちろんこれはモデル試算ですから、観光振興の取り組みで効果は変わります。

また、富山はものづくりの県ですから、産業面での効果を加味すると、伸びしろはまだまだあると思います。富山県では、観光・交流と産業・地域活性化を2本柱にすえて、新幹線の開業効果を最大限に生かしていこうと考えています。

石川▶ 石川県も、東京-金沢が、現在の4時間から2時間半に大幅短縮され、首都圏からのアクセスが飛躍的に向上します。観光産業は、宿泊、交通事業、土産物とすそ野が広いので、経済効果もかなり出るだろうと期待しています。県では2015年の新幹線開通を念頭に置いた「新ほっと石川観光プラン」で、「首都圏誘客500万人構想」を設定しました。2009年の観光消費額は2374億円でしたから、観光客数の伸び率などを換算すると観光消費額の目標は3200億円になります。県では、今年4月に観光戦略推進部を新設し、部内に首都圏戦略課を設置するとともに、その分室的な役目をもたせた首都圏誘客推進室を東京に設けて、本格的に新幹線の開業PRや観光PRなどを実施して、首都圏全般からの誘客に取り組んでいます。

猪嶋▶ 2015年には新幹線は福井まではまだ来ません。北陸新幹線経由では福井-東京は10分程度の短縮にすぎないので、首都圏からは東海道新幹線で米原を経由するのが一般的ではないでしょうか。ただ、福井-長野が2時間30分、福井-高崎(群馬県)が1時間20分、福井-大宮(埼玉県)も約1時間の短縮になりますので、何かしら経済効果があると期待しています。また、東尋坊や永平寺といった観光地が石川県寄りにあるため、現在でも石川県内で宿泊された観光客がこれらの観光地を訪れています。新幹線金沢開業後にも、こういった恩恵を福井に取り込んでいきたいと思っています。

2014年夏には舞鶴若狭自動車道が敦賀まで全線開通します。これと北陸自動車道とを合わせると、大阪や兵庫と結ぶ環状の高速道路網ができあがります。それも含めて「北陸」という括りの中で良い競争ができればいいと思っています。本県では、昨年4月に観光営業部の中に新高速交通活用推進室を設置しました。この2~3年は新幹線と舞鶴若狭道の開業・開通対策に特に力を入れています。

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