従来の定型的な情報開示に留まらず、多様な方法で株主や投資家、アナリストに社の魅力を伝えようと試みる、IR実務担当者によるリレー連載です。
ESG投資家まわりで持参するのは、事業戦略とESG戦略の日英資料。
水まわりのリーディングカンパニーであるTOTOグループは、早くから「環境」を最重点課題の一つと捉え、積極的な環境貢献活動を推進してきました。節水効果の高い便器、シャワー、冷めにくい保温性能の高い浴槽など、毎日使用することで知らないうちに地球環境に貢献できるグリーン商品の開発と普及に努めています。
そのような流れの中、2010年頃からは、「ESG(EnvironmentSocial Governance/環境・社会・ガバナンス)」投資家向けのIR活動にも注力しています。2011年度の組織変更により、トップ直轄の経営企画本部に経営企画部、広報部(社内外広報とIR)に加え、ESG推進部が新設され、互いにコンテンツづくりからステークホルダーへの情報発信までを連携して行っています。
どのような投資家をターゲットにするかというディスカッションを重ねていますが、まず長期的に株を保有していただきたいという前提があります。そのような意味で、長期保有の傾向がある外国人投資家は、重要なターゲットの一つです。持続的に安定した経営を訴求するためにも、事業そのものをESG視点で語ることが効果的だと考えるようになりました。
欧州などでESG投資家を訪問してきて実感するのは、「投資家と企業の根本的な関係」に立ち戻ることができるということです。ESGの各指標は短期間で変わるものではありませんから、投資家も長期的な目で経営に対するアドバイスをしてくれます。その助言を取り入れ、社内を改革したらその結果を報告するというよい循環が生まれつつあります。中には、「次回は、2年後にお会いましょう」という投資家もいます。