企業や商品ブランドが確立されていなければ、取材の機会はそうそう訪れるものではない。日々メディアが会う、多くの広報担当者の中で、第1印象でどのように差をつけるか。1回のチャンスを人脈につなげる、広報担当者たちの日々の努力、テクニックを聞いた。
小技1
第一印象で差をつける小技は何ですか?
3秒で返信します。
多かったのは、スピード重視というもの。「結論が出ていない場合でも『現在アクションをとっていますので少々お待ちください』などのコメントを返す」(機械)、「必ず24時間以内に返信する」(アパレル)、中には「とある記者から『3秒〇〇(名前)』と言われたことが。LINEやフェイスブックメッセージで表示される開封時間から、すぐに返信があるからだそうです。メールよりもプッシュ型でお知らせがあるSNSのメッセージ機能や携帯でやり取りします」(IT)というツワモノも。
「面識のない方には直接お会いするようにもっていく。会ってナンボ」(情報)という意見も根強い。キャラバンなどでメディアに会う日は、「上半身を中心に商品カラーを意識。個人的にはダークトーンが好きですが、明るい服装でネイルも念入りに。できるだけ自社製品を使ったり、商品とかぶらなければ、香りにもこだわる」(化学)と数々の工夫が伺える。「サンプル商品を渡す際には、時節を反映した手づくりのイラスト入りのし紙(『残暑お見舞い申し上げます』など)でラッピングする」(化学)というユニークなアイデアもあった。
小技2
取材のお礼、どんなこだわりがありますか?
手書きにこだわります。
最も多かったのは、「基本的に初めてお会いした方には、その日中にお礼のメールを入れるようにしています」(出版)という答え。
掲載後のお礼も即日という人が多い。その際には、「単にお礼を言うだけでなく、何に対してどう感じ、その結果どんな効果があったかという点を具体的に相手に合わせて書くようにしています」(食品)。
また、手書き派が多いのが特徴。「お礼状は手書きで。顧客の動向やお客様のコメント、社内の評価など、商品以外の情報もお伝えする」(食品)。「特に力を入れた案件について取り上げていただいた際は、便せんに手書きで御礼状を書いています。その際、次の取材につながるように、記者さんに合わせた小ネタを加えるようにしています。御礼状への返信を、手紙でいただいたこともあり、大変嬉しかったです」(IT)。
何度もやり取りをした関係であれば、「好きなものをリサーチしてお土産など渡す」(化粧品)、「食事に誘って懇親する」(IT)など記者個人の嗜好に合わせた対応も心掛ける。とはいえ、記者によっては飲食や物品をもらう“利益供与”を避ける傾向もあり、配慮が必要だ。
小技3
「一回限り」で終わらせない工夫はありますか?
「お得な広報だ」と思わせます。
多くの広報担当者が実践しているのが、「記者が探しているネタが自社にない場合、他社の情報でも伝えて、無駄足にならないよう心がけています。当社の記事ではないことで相談されると『頼られているのかな?』と感じ、嬉しく思います」という声に代表されるように、自社だけでなく業界情報・周辺情報まで伝えること。記者から「使える!」と思ってもらえれば、相談される回数も増え、取材につながることも。「メールによく余談を入れます。自分がその時ハマっていることやもの。別の人から聞いて『へー』と思ったことなど。また、自社の取材につながらなくても『記事になったら面白いのでは?』と勝手に思ったネタやら人は紹介しています」(IT)のように、主体的に記者のために動く人も。