ダンスコンテストで学生生活を支援
ダンスが中学校の必修科目になったのに合わせ2012年秋から始めた「カンコーくるくるダンスコンテスト」では、教材DVDやCDを全国の学校に配布し、優秀者(グループ)には同社の広告への出演権が与えられた。学生服だけでなく学生生活全般をサポートする企業であると認知してもらう狙いがある。
少子化で市場は縮小
岡山市に本社を置く学生服メーカーの菅公学生服は2010年、尾﨑茂社長の号令で社内有志メンバーによるブランディングプロジェクトを始めた。営業、生産、本社スタッフなどさまざまな部門から社員39人が参加し、「みんなの力でブランド価値を高めよう」をテーマに、カンコーステートメントや行動規範(カンコーway)の策定、その社内共有に取り組んできた。
菅公学生服は学生服市場でトップシェアだが、1962年に558万人いた小中高の入学者数は2012年には343万人と40%減。少子化に伴って市場は縮小している。顧客である学校は競争力強化のため、ブレザータイプなどオリジナル性の高い商品を求め、頻繁にモデル変更するようになった。型の決まった学生服やセーラー服を大量につくれば安定して売れた時代から、多品種・小ロットの製品構成になり、「コミュニケーション戦略も変えなければならない」と菅公学生服の西村真由氏は話す。定番商品をPRするため、女性の人気アイドルが学ラン姿で登場するCMを続けた時期もあったが、今後は多様な商品を「カンコー学生服」というブランドで認知してもらう必要がある。「企業としての歴史、経営者や働く社員の思いを掘り起こし、メディアなどを通じて積極的に伝えていくことがブランド構築につながると考えています」。
今年5月には、プロジェクトを引き継ぎ、実行・検証していく部署としてカンコーブランディング室を新設した。ブランディング担当1人とお客様相談室の2人、室長の4人が在籍し、顧客や全国にある工場、営業所などの拠点からの情報収集に努める。ブランディングを担当する西村氏は、秘書業務を兼任しながら09年から広報を担当している。「以前は、教育関係者や所管の業界・省庁の記者クラブに情報を提供する以外は受け身の広報。ブランディングプロジェクトを通じ、発信する材料が揃ってきた」と今後の発信に意欲を見せる。