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緊急レポート

カネボウ化粧品問題を徹底検証(2) 「自信過剰」という名の「思い込み」で初動から失敗

城島明彦(作家・ジャーナリスト)

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7月4日に配信したリリースには、まだら症状を引き起こした「医薬部外品有効成分"ロドデノール"」に言及するくだりに「開き直りではないのか」ともとれる文言があった。

カネボウ化粧品の美白化粧品をめぐる問題が拡大の様相を示している。新たな事実が判明するごとにさらなる風評の山が築き上げられ、話題が繰り返し再燃している。問題をめぐる報道内容や論調の変化を分析するとともに、同社の対応について振り返りたい。

「開き直り」とも取れる表現

カネボウ化粧品が「当社の美白化粧品の使用者に肌がまだらに白くなる症状が発生したため、8ブランド54製品を自主回収する」と広報発表したのは、7月4日だった。

リリースは「お詫びと自主回収についてのお知らせ」と題した短文だが、まだら症状を引き起こした「医薬部外品有効成分"ロドデノール"」に言及するくだりに「開き直りではないのか」と取れる以下のような言い回しがあった。

《"ロドデノール"は、様々な安全性試験を実施して厚生労働省より薬事法に基づく承認を得た、医薬部外品有効成分です。しかしながら、"ロドデノール"と上記症状との関連性が懸念されるため、自主回収が適切であると判断をいたしました。》

この文章は素直ではない。次のような"本心"のニュアンスが文章の端々から読み手に伝わってくるからだ。

(1)使用者全員に症状が出たわけではあるまい。当社では安全性試験をさんざんやって安全性を確認している。まだら症状は、使用者の個人的な体質の問題ではないのか。
(2)当社製品は、厚労省が薬事法に基づいて認可した医薬部外品。文句をいうなら許可した厚労省にいってくれ。

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