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費用ゼロで商品を売るアイデア

「畳供養」で1億7000万円の広報効果

全国畳産業振興会

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メイド×子ども×寺×畳職人で絵づくり。地球温暖化防止をテーマに、畳とイグサの効果効能を伝えるオリジナル局「畳ビズのうた」記者発表会を開催した。登場したのは、「畳メイド」と7人の小人なら小坊主たち。

日本人の生活の中で、約1000年にわたり受け継がれてきた畳文化。近年、ライフスタイルの変化から需要が激減していることを受け、業界が一丸となり、畳の魅力を世に広める活動を始めた。元手を遥かに上回る露出効果を得、職人のモチベーションも向上している。

畳の魅力を今一度伝えたい

イグサの生産団体から卸商、畳の製作、流通にいたる5団体で構成される、日本の畳業界を統括する業界団体「全国畳産業振興会」。会員数は現在約1万5000人。1977年の創立以来、日本の畳産業を活性化させるための活動を行っている。マンションやアパートが増え、フローリングの床が主流になるにつれ畳の需要が激減。農林水産省の統計によると、1993年に約4500万枚あった畳の生産量は、昨年時点で1490万枚にまで減少し、ここ20年間で約3分の1にまで減っている。

このままでは、日本人の生活から畳が消えてしまう――。その思いから、各業界団体が集まって振興会を結成し、業界をあげて畳の魅力を発信していこうと立ち上がったのが36年前のことだ。

新聞168紙にパブリシティ

広報活動の足がかりとなったのが、2007年に"市場調査"として行った「新時代の畳活用法」をテーマとした意見募集。従来の畳の概念に捉われない幅広いアイデアを一般から募るというものだ。広くアイデアを集めるため、そして調査そのものをPRとするべく活用したのが新聞。"回答者の中から抽選でプレゼントを進呈します"と、プレゼントパブリシティとして新聞に掲載を打診。特に通信社を通じて地方紙にも大きく広がり、合計168紙にも上る記事が掲載された。

新聞を通じて全国から集まった意見・アイデアは1520通。車の中に畳を敷いて寝ることができる「畳でゴロ寝カー」や、室内で遊べる「畳のすべり台」、イグサの香りで癒される「畳ネクタイ」など、これまで想像すらしなかったユニークなアイデアが多数寄せられた。「告知掲載の交渉もプレゼントをつけることで大きく変わりました。新聞を通じて、予想以上に多くのアイデアが集まったので、それを考えると安いものです」(全国畳産業振興会 神邉鑅一会長)。

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