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小さなお店を流行らせる広報術

かっぱ橋道具街で考えた「店を長続きさせるのに大切なこと」

吉野信吾×東京合羽橋商店街振興組合・高橋敏弘理事長

連載「小さなお店を流行らせる広報術」をまとめ、加筆した書籍『取材が来る店』が発売になりました。それを機に著者の吉野信吾さんと、かっぱ橋道具街で来街客である飲食店の繁盛をサポートし、商店街の宣伝・広報に力を注ぐ東京合羽橋商店街振興組合の髙橋敏弘理事長との対談を実施しました。

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東京合羽橋商店街振興組合髙橋敏弘理事長(右)は、かっぱ橋道具街にある高橋総本店の代表取締役でもある。昨年かっぱ橋道具街は100周年を迎えた。著者の吉野信吾さん(左)は、飲食店舗のプロデュースを多数手掛け、自身もかっぱ橋道具街に足を運ぶ。

吉野 かっぱ橋道具街を多くの人に知ってもらうためにされていることは?

髙橋 宣伝・広報に積極的な商店街で、今年4月「かっぱ橋道具街」が商標として認可されました。このブランドをより高める活動をしたいと考えています。飲食店の方は調理場でラジオを聞くことも多く、長年ラジオCMを流してきましたし、昨年の「かっぱ橋道具祭り」開催時には、テレビ東京の『出没!アド街ック天国』にも取り上げられ、過去最高の40万人を動員しました。

吉野 海外の観光客も増えていますか。

髙橋 かっぱ橋道具街のある浅草は観光地として人気があり、訪日客も増えています。例えば日本の包丁は世界的にもグレードが高いことが知られていて、海外のお客さまが高額の包丁を購入されていくケースもあります。

吉野 かっぱ橋道具街に来れば、専門的な商品が手に入ると知っているからこそ、わざわざ足を運ぶのでしょう。もともとは一般客が対象ではなく、プロ向けの道具街ですから、よそでは買えないものを購入しに来る人が集まっていると感じます。

髙橋 もちろんかっぱ橋道具街では、一般のお客さまにお皿一枚からでも商品を提供してきました。しかし飲食のプロのための専門店街というブランドを崩すことはありません。お客さまの質が変わる中で、ターゲットをどこに絞り、どんな品ぞろえで対応していくかが重要になっています。

吉野 不特定多数の客に門戸を開く飲食店と、考え方はまったく同じですね。飲食店には一見客も常連客も入れます。クチコミサイトが普及してから、敷居の高い専門店にも初めての客が入りやすくなりました。しかしあれもこれもと欲張ることなく、店側が求める客筋をしっかりと絞り込むことが、店を長続きさせるためには欠かせません。

髙橋 常連客を集めるにはリアル店舗だからできる、接客が特に大切です。

吉野 そうですね。レジが詰まったときの対応を見ると、接客の質がよく分かります。お客さまに気遣いの一言があるかどうか。来店客は、それを敏感に感じ取り、また来たくなる、流行る店になっていくのです。

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『取材が来る店─いままで誰も書かなかった「メディアから見た店」とは!』
吉野信吾 著/宣伝会議 刊/1470円(税込)
飲食事業においては「雑誌に載る」といったメディア露出があるかどうかが、勝敗を左右する。メディア、店舗設計・プロデュース、店舗経営の三つの実務に精通する著者が、メディアの目を通して見た魅力的な店のあり方や店を流行らせるための広報術を伝授する。

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