書店におけるPOPは、単なる商品宣伝にとどまらず、顧客の購買意欲を引き出す重要なツールだ。店頭にならぶ膨大な本の中で、その鍵はPOPが握っているといっても過言ではない。本記事では、元書店員であり「POP王」の異名を持つブックジャーナリストの内田 剛氏が、効果的なPOP制作のコツを紹介。書店でどのようにして商品の魅力を引き出し、顧客の目を引きつけるか。元書店員ならではの視点で解説する。
POPは“万能ではない”
しばしば、「POPを付ければ売れる」と誤解されがちですが、実際にはPOPが周りの商品を邪魔したり、棚の美観を損なうこともあります。そのため、むやみに付ければよいものでもなく、場合によっては置かない方がよいこともあるのです。書店において、あくまでも主役は本そのもの。POPは、あくまで本の魅力を引き出し、短所を補うサポーターにすぎません。
では、なぜ一部の本にはPOPが必要なのか。それは、「選べない」「探せない」と感じている読者に向けて、店頭での選書をサポートするための道標としての役割があるから。POPは、読者が本を手に取るきっかけをつくり、選書の手助けをする重要なツールとなるのです。
作成の「アイウエオ」
私は様々な場所でPOPのワークショップを行っていますが、その際、必ず参加者に伝えるのが「POP作成のアイウエオ」というポイント(図1)。これは、POPを効果的に作成するための基本的なルールや心構えを表しているもので、実際にPOPを作成する際に…
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