売り場で商品の“顔”となるパッケージは、時には消費者に強い印象を与え、購買を促す重要な要素のひとつだ。では、パッケージデザインにおける成功の共通点はあるのか。そして、色使いやフォント、形状、素材選びがどのように消費者の心理に影響を与えるのか。本記事では、これまで数々のパッケージデザインを手がけてきたデザイナーの三原美奈子氏が、購買意欲を引き出すために必要な要素を探る。
購買意欲を刺激する「パッケージ」の存在
SNSの普及に伴って「パケ買い」という言葉が一般的になり、今では気に入ったパッケージを撮影してSNSでシェアすることが当たり前の時代になりました。このようなことを考慮しても、パッケージデザインが購買意欲を刺激し、商品の売上に貢献する重要な要素であることは言うまでもありません。
そもそもパッケージデザインは、主に箱や瓶、缶といった包装容器とその表面に施されるデザインで成り立っています。この2つの要素が相互に作用し合うことで、ひとつの印象をつくりあげるのがパッケージデザインです。特に、魅力的なパッケージには包装容器と表面デザインに一体感があり、相乗効果によって売り場での印象を強めることができます。
しかし、包装容器には制限が設けられていることも多く、個性的なデザインをつくることは難しい場合も多々あります。というのも、パッケージデザインの本質的な役割は、中身の保護。まずは商品自体を無事に購入者の手に届けるため、印刷や充填、輸送や陳列と全ての工程において安心・安全が確保できるよう、制限が設けられています。さらに、コスト面や環境への配慮も欠かせません。つまり、これらの制約の中で、最大限の効果を発揮できる…