老舗洋菓子ブランドのヨックモックは2024年5月~6月にかけ、設立55周年企画としてポップアップショップの「クッキーのアトリエ」を実施。ヨックモックとしてはほぼ初めてとなる大規模イベントだったが、結果は大盛況。本企画を担当したのがヨックモック マーケティング部の森谷佳那氏とTHE・STANDARDの橘弘晃氏だ。仕掛け人となった2人に、実施までの裏側を聞いた。
ヨックモックの周年企画 「体験」を重視したかった
──ヨックモックは2024年、設立55周年企画としてポップアップストア「クッキーのアトリエ」を実施したと聞きました。
森谷:ヨックモックは青山にある本店や百貨店内の店舗がメインの販売チャネルですが、55周年を迎えるにあたり、新たな顧客との繋がりを創出したいと考えていました。その中でも重視したかったのが「体験」。コロナ禍でリアルでの繋がりが必ずしも必要ではないと捉えられてしまうことも増えた今だからこそ、私たちが大切にしてきた「人と人とのつながりをデザインし、おいしさと笑顔が共にある世界を創る」という想いを表現したいと考えました。そこで実施したのが「クッキーのアトリエ」というポップアップショップです。クッキーの提供はもちろんですが、目玉の企画は壁に施されたウォールアート。来店者自らが絵に色を塗り、会期中の間で1つの作品に仕上げるという「参加型」の企画で、人との繋がりやクッキーの楽しさを感じてもらいたいと思っていました。結果、累計で約5000名が来場。大盛況で終えることができました。
──ヨックモックではこれまで、大規模なイベント実施の経験はあったのでしょうか。
森谷:実は初めてに近しかったというのが正直なところです。ポップアップストアを実施したいと思っても十分なノウハウもなかったですし、一緒になって進めてくれるパートナーを探していましたね。
──そこで相談したのがTHE・STANDARDだったのですね。
森谷:THE・STANDARDに相談したのは、私たちが実現したかった「記憶に残るような体験提供」に長けている印象があったのが1つの理由です。とはいえ、当社は食品を扱うので安全性も重視しなければなりません。そう考えても、表現の上手さと信頼が両立しているパートナーが必要だったんです。そこで出会ったのがTHE・STANDARDでした。
橘:お声がけいただいてまず頭に浮かんだのは、ヨックモックさんがこれまでの歴史で培ってきたブランド価値を崩さず、なおかつ新しさを見せられる表現を追求したいということでした。そういう意味でも場所選びから空間演出まで、慎重に決めていきましたね。
1年におよぶ準備期間 密に進めた調整と提案
──実施まではどのように進行したのでしょうか。過程が知りたいです。
森谷:「クッキーのアトリエ」は2024年5月~6月の約3週間実施したのですが、プロジェクトが始まったのは、ちょうどそれから1年くらい前でしたね。定例会を何度も重ねたのですが、その度に驚かされたのは、THE・STANDARDの熱量。まるでヨックモックの社員かと勘違いしてしまうようなくらいでした。それほど、この企画を成功させたいと思ってくれているのが伝わるんです。会うたびにアイデアが具体化されている感覚もあって、イベント実施初心者としては頼もしかったですね。
橘:定例は隔週で行って、その度に調整と提案を重ねていきましたよね。直前は週3回に数を増やして最終の調整を進めました。ヨックモックさんに限らず、進行の過程で当社が大切にしているのが、クライアントが成し遂げたいと思っていることに対して「NO」と言わないことです。私たちは、クライアントがしたいことを空間として具現化することが使命。私たちとクライアントの間に認識の齟齬がないよう、実現まで進行することを心掛けています。それが、ヨックモックさんと同じ熱量だと感じていただけた背景かもしれません。
──定例会では主にどのようなことを議論していたのですか。
橘:どんな空間として表現するかは、慎重に議論しました。今回のミッションは「体験を通してクッキーの楽しさを表現する」ことでしたが、ただ奇抜な表現で面白さを訴求するだけでは足りないと思っていました。今回のポップアップはあくまでクッキーが主役。表現として面白いのも大切ですが、「クッキーって楽しい」と思ってもらえる表現の追求を重ねましたね。
森谷:ヨックモックとしては、「体験」を提供したいと思いながらも、やはり売上も残したいという気持ちもありました。周年企画の中でもメインとなるのがこの「クッキーのアトリエ」だったので、最初の目的よりも成し遂げたいことが「あれもこれも」と増えてしまうことがあったんです。ですが、THE・STANDARDは過剰なものを削ぎ落として、軌道修正してくれる印象もありました。目指すべきところがクリアになって道のりがシャープになっていくと言いますか…。そういったところも頼もしかったです。
ポップアップストアの正念場は実施期間中の「改善」
──ポップアップストアは企画だけではなく、会期中のオペレーションも重要ですよね。
森谷:当社の社員も期間中は四六時中立ち会えるわけではないので、状況を逐一理解できることは難しいこともありました。ですが、常駐しているTHE・STANDARDが現場の声を拾ってそれに合わせたアップデートをその都度行ってくれることは印象的でしたね。イベント中もどんどんオペレーションが改善されていくんですよ。橘さんからは、「僕たちも気づいたことがあれば遠慮なく言います。なので、ヨックモックさんも何かあれば言ってください」と言っていただけたこともありました。ただの外注の関係性ではなく、名実ともにパートナーとして向き合ってくれていると感じましたね。本当に助かりました。
橘:どれだけ事前に準備したとしても、予想外の事案が発生するのがポップアップストアでもあります。そういう意味では実施中にでてきた懸念をいかに早く解消できるかが正念場です。企画だけではなく、ブランドとの最後の接点となる現場でも全力でサポートすることは常に大切にしています。
森谷:企画から実施まで一緒に走っていてわかったのは、THE・STANDARDの現場力でした。これまで培ってきた実績やノウハウが実施前でも、実施中も助けてくれる印象がありました。どの段階の“現場”でも私たちに寄り添いながらグングンとプロジェクトを推進してくれる力はとてもありがたかったです。今後も機会があれば、ぜひまた一緒に面白い体験をつくりたいです!
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