データ活用の精度を高め、顧客ごとに最適化された販促に取り組もうとする企業も増えている。しかし、顧客視点ではどうだろうか?自身の購買データに紐づけられ、最適に配信されたクーポンを「購買の押し付け」に感じる消費者もいるかもしれない。本記事では、行動経済学の観点から「人間の行動原理」にフォーカス。顧客目線の「データドリブン販促」に着目し、販促におけるデータ活用にプラスαするべき知見を、慶應義塾大学 教授 星野崇宏氏が解説する。
慶應義塾大学
経済学部 教授 経済研究所長
星野崇宏氏
2004年3月東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。博士(経済学)。名古屋大学大学院経済学研究科などをへて、慶應義塾大学経済学部教授。シカゴ大学・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院客員研究員・ロンドンスクールオブエコノミクス客員教授などを歴任。行動経済学会第8代会長(現常任理事)。マーケティング・サイエンス学会理事。応用統計学会・日本行動計量学会・45歳未満の研究者に政府が授与する最も権威のある賞である日本学術振興会賞を受賞(2017年)。ほかに日本統計学会研究業績賞など受賞多数。学知をビジネスに活用するため2020年エコノミクスデザイン社を創業。
ここ数年でリアル店舗でのデータドリブンな販促やリテールメディアの活用については様々なメディアで報じられています。なぜ、データ活用に注目が集まっているのでしょうか。
販促施策の代表格ともいえる「値引き」を例に考えてみましょう。…
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