消費者との直接的な接点が希薄になってしまったコロナ禍を経て、ECの普及やDXが推進された印象が強いアパレル業界。しかし、繊研新聞で発信された「旗艦店」関連のニュース数はコロナ前後で変化がなく、むしろコロナ禍の真っ只中ではニュース数が増えていたことがわかったという。この背景には、アパレル企業のどのような考えがあるのか。繊研新聞社 編集局長の若狭純子氏が推察する。
アパレル事業を行う企業が運営する旗艦店は一般的に、3つの役割を担っていると考えています。ひとつが「ブランドの認知向上」。そして「顧客接点」。最後の3つ目が「最新サービスの提供」です。
まず「ブランドの認知向上」という役割について。例えば海外のラグジュアリーブランドだけではなく、ユニクロやH&M、ZARAといったSPAは、揃って銀座に旗艦店を出店しています。このことからも推察できるように、国内外から人が集まる銀座という都心の繁華街にメインと位置づける店舗を設けることで、ブランドの認知向上を狙っていることは想像がつくはずです。
銀座だけではなく、その他の人流が集まる地域への出店が多いことからも、各社が旗艦店に「認知向上」の役割を持たせていると考えられるのではないでしょうか。
2つ目の「顧客接点」も店舗ビジネスを語るうえでは欠かせない論点です。
むしろ、この「顧客接点」としての旗艦店の役割は、…
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