販売の中核を担う重要な店舗として運営される旗艦店。アパレルやビューティーの業界でも、コロナ禍以降に旗艦店と位置付ける出店が相次いでいる。そんな昨今の事例から見えている1つの潮流は “体験の提供” だと『WWDJAPAN』編集長の村上要氏は話す。トレンド化している背景を解説する。
アパレルやビューティーの業界にとって旗艦店というお店の存在は、販売の中核を担う、代表的な店を指します。複数店舗を展開している企業・ブランドにとっては、最も重要と位置づけられるお店です。時代が変わっても「商品を売り、売上を立てるための店」という本質的な役割は変化していない印象を持ちますが、もちろん全く変わらないわけではありません。
では何が変わったのかというと、それは「ブランドを体験する場」としての役割を持つようになったこと、と私は考えています。変化というよりは、各社が旗艦店に求めている役割のトレンドとも言えるのかもしれません。
誰もが入りやすいお店へ キーワードは「没入体験」
そもそも十数年前、とりわけラグジュアリーブランドが手がける旗艦店といえば、来店する人を選ぶような雰囲気さえ醸し出すほど荘厳な店舗が多い印象でした。ラグジュアリーとしての威厳を店舗で表現するかのような店構えが多かったです。
このトレンドが落ち着き、次なる変化があったのはコロナ前。今から数年ほど前のことでした。先ほど述べた厳かな店構えとは打って変わって、入りやすい雰囲気のお店が旗艦店としてオープンし始めたのです。…
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