多くの常連客に愛されている街中のお店を訪問。顧客とのコミュニケーションや店頭販促の工夫を探ります。
置かれる一冊一冊に配慮の跡
店主自作書棚が数多く並ぶ店内
10代からシニアまで幅広い客層

正面扉を開け入店すると見えるメインの赤い華やかな書棚。取材時は、ちくま文庫に入ったばかりの俳優宝田明の聞き取り型自叙伝関連の書籍展示・販売を行っていた。同書は店員ののむみち氏が、たまたま名画座で客として来ていた宝田氏と出会ったことをきっかけに誕生。彼女が構成を手がけた。
JRの池袋駅東口から明治通りを南に十数分歩くと路の左側に古書店が見えてくる。映画、美術、文芸に強い「古書往来座」だ。店主の瀬戸雄史氏が同じ池袋の古書店勤務を経て2004年に開いた。「以前の店は池袋駅そばの東京芸術劇場のビル内にありましたが、テナント入れ替えの時期にあたり閉店せざるをえなくなり、周辺で物件を探しました」とオープンのきっかけを語る。
扉を開けて入店するとまず目立つのが正面の大きな赤い書籍陳列棚。取材時は俳優宝田明に関連する書籍や資料を展示・販売していた。ピカピカに磨きあげられた木製の床や天井から吊り下がるお洒落なペンダントライト、書棚や看板に多く使われる赤色など一般的な古書店の印象とは異なる。瀬戸氏は店舗に関するこだわりを「旧来の暗い感じの古本屋とは異なる明るい店をイメージして造りました」と話す。
駅から十数分歩いてでも、同店を目指す客は多い。取材に訪れた日曜日は古書店のメイン顧客たるシニア層や3~40代の客に加え、10代女子の二人連れなども見受けられた。彼女らは文学史などに一切こだわりない様子で「源氏鶏太って、名前エモいんだけど!」...