2021年の発売以降、世界中で人気を博す富士フイルムのインスタントカメラ“チェキ”「INSTAX mini Evo」。ターゲットを明確に設定し、カメラデザインや操作性、撮影表現を追求し、これまでとは違う購入層を獲得。イメージングソリューション事業部・統括マネージャーの高井隆一郎氏に、開発の経緯について聞いた。

富士フイルム
イメージングソリューション事業部
統括マネージャー
高井隆一郎氏
2001年に富士フイルムに入社。2009年から欧州(ドイツ)に8年間駐在。帰国後インスタント(INSTAX “チェキ”)製品の商品企画とグローバルプロモーションを展開。2021年よりイメージングソリューション事業部コンシューマーイメージング(INSTAX)グループを統括。
スマホユーザーが使いたくなるカメラを目指す
──「INSTAX mini Evo」はどのような商品でしょうか。
この商品はINSTAX“チェキ”シリーズの最上位機種です。デジタル技術を搭載し、カメラ背面のモニターを見ながら撮影して、写真を選んでプリントすることができるハイブリッドインスタントカメラです。
デザインはクラシカルに仕上げていて、随所にハイスペック感を出しています。ディスプレイも大きめにとり、露光密度を従来の2倍に高め、より高画質な写りになるよう工夫しました。最大の特長は、本体の正面にレンズダイヤル、背面にフィルムダイヤルがついていて、そこを回すとそれぞれ10種類のエフェクトを選択でき、組み合わせることで10×10=100通りの写真表現が可能な点です。「INSTAX mini Evo」で撮影・プリントした写真を、専用アプリを介してスマホに取り込むこともできます。
また、写真をプリントする際に使うプリントレバーには、フィルムカメラのレバーをイメージしたギミックを付けるなど、デザインやパーツなど細かい部分はあえてアナログ感を残して、カメラ好きに刺さるようにしている点も特長ですね。
──この商品はどのように開発されたのでしょうか。
この商品はまず「誰に」買ってほしいかを定めるところから始まりました。INSTAXは日常で気軽に楽しむ使用シーンが多く、社内でよく「スマホでいいじゃん説」が出ます(笑)。そこで開発にあたっても、もはやスマホは全員が持っていて、スマホユーザーじゃない人の方が少ない、ということに着目。
あえてターゲットをスマホユーザーに定め...