生活者の購買行動が多様化し、小売業もそれに伴った変化が求められている。そうした中、バイヤーから求められるメーカーの提案とはどのようなものか。卸売業の立場から、小売業の現状と提案のポイントについて、国分グループ本社の古城尚子氏に話を聞いた。
購買行動の変化、消費志向の変化に伴う売り場の提案
──卸売業の立場から見て、小売業の変化についてお聞かせください。
国分グループは食のマーケティングカンパニーとして、卸機能の提供による「モノ売り+コト売り」で新たな市場・ビジネスの創造に取り組んできました。1万社のメーカーから60万の商品を仕入れ、スーパーやコンビニエンスストアといった小売店・外食産業3万5000社に対して商品を販売しています。
小売業の変化で特筆すべきは、やはりコロナ禍での変化です。生活者の購買行動の変化に伴う対応や店舗のデジタル化、決済方法の多様化を始め、予想を上回る速さで小売業は変化しました。食の領域では、従来の外食・中食・内食といった区別がなくなってきたことが挙げられます。デリバリーやテイクアウトが普及し、食事のとり方もシームレス化したことで、今まで競合すると思われていた区分が共存するようになりました。また、節約志向がある一方、いいもの、おいしいものが食べたいという意識が生活者の中で両立するようにもなりました。
一例を挙げると、冷凍食品はセール向けの商品群として扱う店舗も多かったのですが、それに加えて高価格帯な冷凍食品を増やす傾向があります。
こうした環境変化の速度が速くなっているからこそ、マーケティングに基づいた売り場の提案が必要になっていると考えています。
短い商談時間で伝えるべき 自社商品の売り場への貢献度
──メーカーとバイヤーの商談についても変化はありますか。
現場での働き方は効率化を求められ、バイヤーとメーカーの商談時間は短くなっています。こうした変化にメーカーも...