コロナ禍で直接的な接点が減少する中で、メタバースをはじめとしたデジタル上での接点が拡大した。クリエイティブテクノロジストを担う末冨亮氏は、こうしたメタバースやデジタル空間でのコミュニケーションに長く従事してきた。今後さらに拡大が見込まれるデジタル接点の中で、企業は何を心掛けるべきだろうか。
日ごろから新しい情報に触れアイデアの引き出しを増やす
──どのような業務を担当されていますか。
私の所属するDentsu Lab Tokyoは、主にテクノロジーを使った表現や研究開発をベースに、企画やアウトプットを行っています。最近ではメタバース上でのイベント開催などの相談が多く、大手出版社のイベントやゲームショウなど、コロナ禍でユーザーと直接的接点を持てない中で、デジタルを活用した取り組みを多く実現しています。
──企画のアイデアはどのように発想されていますか。
元々建築を学んでいたこともあり、アイデアを生み出す際にはまずは手を動かし、思い浮かんだものを実際にプロトタイプとしてつくってみることを心がけています。それに対して「使ってみたいかどうか」といった感覚的な判断をし、そこから企画に繋げていくことが多いです。そこで生まれたアイデアは、言語的に説明できる状態まで明確化しながら、自分の中でブラッシュアップしています。手を動かして頭で考えるという言語・非言語の作業を繰り返しながら、半分は左脳的、半分は右脳的に企画をつくるイメージです。
──アイデアを生み出すために、普段から実践していることはありますか。
クライアントの依頼があってから調査を始めると、その分プランニングのスタートが遅れてしまいます。そのため、日ごろから情報収集を小まめに行っており、そこで得た情報から常にアイデアのストックを持っておくようにしています。なので、技術背景や文脈理解は...