顧客体験がDXにより大きく変わろうとしている。顧客との接点は増加しているが、顧客体験をいかにデザインすればよいのだろうか。DXが進む海外事例をもとに、電通プロモーションプラスの土肥健一郎氏に話を聞いた。
デジタルデバイスやサービスの普及によって、企業と顧客の接点が増大。販売促進の手法が多様化していく中で、購買タイミングのみならず、購買前の関心・興味、購買後の評価など、一連の「体験」を通じて顧客満足度を高めていくことの重要性が増しています。「顧客体験」とは点ではなく「線」であり、カスタマージャーニー全体を通じた体験設計が、その基本戦略となります。
顧客体験を考えるヒントはオンオフ統合の「Phygital」
コロナ禍は小売業界のDX推進を一層後押ししましたが、一方でリテールテック投資の進んだアメリカでは、ラストワンマイルの配送コストの観点と共に、良質な顧客体験を提供できることから実店舗の効率性が再評価され、逆に出店攻勢が進んでいます。日本ではBtoC市場のEC化率は低く、生活必需品の買い物のほとんどはいまだ実店舗で行われているのが現状です。「顧客体験」の質を高めていく上では、オンラインの存在感が増した現在でも、実店舗とECを横断した統合的な体験価値を設計していくことが求められるでしょう。
オンオフ統合の顧客体験を考えるヒントとして、「Phygital(フィジタル)」なる概念を...
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