電通プロモーションプラス(PMP)は、2022年11月に約1億ID分のID-POSデータ*と連携するフェズとの提携を発表した。これにより広告・販促・店頭を繋げた施策、効果検証が可能になる。この提携により開発されたサービスについて、電通PMPの柳川得郎氏に話を聞いた。
「原油や原料価格の高騰、円安などの影響により、広告・販促効果の最大化、効率化がより一層求められています。これまでは、短期的に売上を上げるためには販促を用い、認知を上げるためには広告を用いる、『販促と広告の使い分け』が一般的でした。しかし、こうした現状を踏まえ、トレードマーケティング部やショッパーマーケティング部など、販促と広告の両方を担う部署を新たに立ち上げるメーカーも増えてきています」。こう話すのは、電通PMPの柳川得郎氏だ。
電通PMPではフェズとの業務提携を行い、TVや購買データを活用した店頭販促ソリューションの開発を進めてきた。その第一弾が「“テレビ×店頭”小売横断プロモーション」だ(図)。
このソリューションは放送局のインフォマーシャル企画と放送エリア内の店舗数・売上シェアが高い複数の小売企業をネットワーク化し、エリア売上拡大にフォーカスしている。「メーカーの売りたい商品のインフォマーシャルを制作し、それをテレビで放映します。さらに小売様のオウンドメディアやアプリなどを使ったクーポン施策、店頭のサイネージやPOPなど店頭での露出も展開します。実証実験では、対象商品の売上が120%以上伸長するなどの結果が得られています」(柳川氏)。
ブランド認知に繋がるだけでなく、より売上に寄与する施策が求められている中、「“テレビ×店頭”小売横断プロモーション」では認知から購買に繋げられることはもちろん、“小売企業の店頭露出と連動させる手段がなく、売上拡大に繋がらない”、“単一小売の売上が増えてもエリア内のシェアが拡大しない”といった、店頭連動でありがちな課題も同時に解決する。
購買データの活用でクリエイティブ検証も可能に
また、大きな特徴のひとつがクリエイティブ検証だ。インフォマーシャルをテレビで放映する前に、複数パターンのクリエイティブをつくり、YouTubeで放映してどちらがより効果があるか、視聴率と購買データを用いて検証する。その際、小売企業のアプリやID連動のポイントカードなどから得られる購買データを活用するので、従来よりも精緻な効果測定ができるという。
「事前検証により、消費者興味と実購買効果が高いクリエイティブを可視化し、より売上にコミットした広告を打ち出せるようになりました」。「“テレビ×店頭”小売横断プロモーション」は、店舗にとってもメリットがある。新規の来店客獲得が難しくなっている店舗では、来店促進を図ることができる上、消費者ニーズが様変わりしている中で、商品を手に取ってもらいやすくなる。
「効果が可視化されることで、メーカーと小売様のコミュニケーションも円滑になります。データに基づいてメーカーが『ぜひこの商品を置いてください』と提案しやすくなり、商品を棚に並べるまでのストーリーづくりにも貢献できるようになります。メーカーも小売様も一緒になって販促に取り組むことができます」。
電通PMPではテレビ×デジタル広告×店頭連動によるソリューションをこれからも順次発表していくという。これからの動向にも注目したい。
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