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REPORT

「熱中できる要素」から考える既存事業の変革、新規事業の立ち上げ

家本賢太郎氏(クララオンライン/neuet)

社会課題やメガトレンドを捉えてどのように新たな事業価値を創造するのか。また、それをどのように社会に伝えるのか。クララオンライン・neuet代表取締役社長の家本賢太郎氏が「課題発見×社会実装」という強みの持ち方を軸に既存事業の変革、新規事業の立ち上げについて解説する。

シェアサイクル「チャリチャリ」は福岡で事業を開始。現在は東京、名古屋、熊本の全国4都市まで広まった。

クララオンライングループであるneuetは、「チャリチャリ」というシェアサイクル事業を展開しています。現在の事業を選んだ根っこには「社会への恩返し」の思いがありました。

小さい頃に大病を経験してから、色々な人にお世話になって生きてきました。受けた恩を社会に返したいという思いから、現在の「社会課題に取り組む」という事業スタイルが生まれたと感じています。

自転車という、社会課題とポテンシャルを併せ持った市場

15歳での起業以来、インターネットやクラウドなど、IT分野にてインフラの仕事を続けてきました。自転車ビジネスのきっかけは、2012年に中国の「自転車文化」に触れたことでした。シェアサイクル全盛期だった16~18年当時、中国の町のほとんどは「モバイクの緋色」と「オッフォの黄色」の二色に染められていました。シェアサイクル二強の創業者に興味を持って調べてみると、両者とも私より年下であり、自分より若い方たちがビジネスで社会を大きく変化させている状況に深く感銘を受けました。

中国でビジネスをするというと、新しいものを受け入れる柔軟性に欠けているのではと思いがちですが、シェアサイクルは市民にすぐ受け入れられて、町の移動手段の様子がみるみる変わっていきました。それに対して日本を見ると、やっとシェアサイクルの活用が始まりそうな黎明期だったんです。自転車産業は約2700億円の市場があるとされていますが、デジタル化がひどく遅れている分野でもあります。メーカーから問屋、そして販売店のやり取りも、主流は未だ紙伝票です。そこにポテンシャルを感じました。

スポーツ用自転車の中古販売、そして、シェアサイクルの二本の軸を掲げて、自転車ビジネスに乗り出しました。その裏には、日本における自転車の大量生産・大量廃棄問題と、放置自転車問題という社会課題の解決がありました。前述したように日本の自転車市場は約2700億円あり、輸入自転車だけでも毎年700万台が入ってきているといいます。そして、ほぼ同数の自転車が毎年、処分されています。コロナ禍前までは毎年、200~300万台の自転車を処分するようなかたちで...

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