新しい時代における流通・小売・サービス業界で、自ら事業を牽引するキーパーソンに迫る本企画。第3回は経営再建を果たし、リ・ブランディングに取り組む赤ちゃん本舗 代表取締役社長 味志謙司氏。味志社長が考える「現場力」とは。
2回目のリ・ブランディングは行動に移すことを重要視
──まず「赤ちゃん本舗」について紹介いただけますか。
赤ちゃん本舗は全国に124店舗展開しています。テナント形式で400坪前後の売り場面積を確保し、ベビー用品の専門店としてワンストップで様々なアイテムを買い揃えることができます。赤ちゃん本舗は2007年にセブン&アイ・ホールディングスと資本業務提携を行い、私も同年に経営再建のためイトーヨーカ堂から出向してきました。経営企画部や販売本部を経て、2021年に代表取締役社長に就任しています。
──ブランドの構築に力を入れられていると伺いました。
現在2回目のリ・ブランディングに取り組んでいる最中です。経営再建により2010年に黒字化し、売上拡大を目指すフェーズとなりました。2014年にリ・ブランディングへの取り組みを始め、企業理念やロゴマークを刷新し、赤ちゃん本舗のブランド価値を再定義しました。この背景には、店舗は品揃え豊富で価格が安く、利便性が高いという機能的な価値はあるが、買い物が楽しく、わくわくするという情緒的な価値に欠けているのではないかという思いがありました。
ミッション、ビジョン、バリュー、ウェイ(仕事の姿勢)を明確にすることでブランド価値を高め、売上拡大につなげたいという考えです。こうした考えを社員に周知するため、ビジョンの実現に向けた具体策を記したブランディングノートを作成して社員に配布しました。
──日々の店舗業務があると、社内の啓蒙にはハードルがあったのでは。
正直に申し上げて成功したとは言えません。売上の拡大を目指したかったのですが、横ばいの状況が続いていました。推進した私自身も販売本部に異動となり、次第に日々の業務に埋もれてしまいました。2014年に策定したリ・ブランディングへの取り組みは、もともと5年後を想定して作成したため、2020年に2回目のリ・ブランディング活動が始まりました。メッセージは変えず、仕事に落とし込むためにどうしたらよいかと考えました。
そこで改めて...