累計ダウンロード数468万※を誇るアプリを核にCRM戦略を加速し、新たな顧客体験価値を創出し続けるオルビス。2022年11月には、AIによる肌の分析結果に基づいたスキンケア方法を提案する「肌カ.ル.テ」をスタート。連続的・継続的なコミュニケーションの実現を目指す背景を取材した。
※2022年11月時点
買い物に留まらない価値提供でDL数が堅調
──「ORBISアプリ」を核にしたCRM戦略について、その背景や内容を教えてください。
井口:2018年のリブランディングの前から「ORBISアプリ」は立ち上がっていました。契機は、通販と店舗がそれぞれ個別で独立ビジネス的な事業形態で進んできた中で、両方の販売チャネルがシームレスに利用できなくてはお客さまの満足度を高められないと考えたからです。
そこで、2017年に通販・店舗で異なっていたポイント制度をアプリで統合することからスタート。その後、18年6月には、ECで購入した商品の配送状況の確認など商品購入に関する機能を強化し、すべてのお客さまがシームレスにお買い物しやすいアプリへとリニューアルしました。
化粧品会社として有している美容アイテムの基本価値に加えて、店舗やコールセンターで培ったホスピタリティにあふれるお客さまへのサポートやBA(ビューティーアドバイザー)によるカウンセリング・接客などのお客さまとの関係性・CRM(顧客関係管理)も大きな強みです。来店時やコールセンターでの対応時以外にもブランドの醸成を進めたいと考えたとき、一番身近にあるスマホを利用することで、既存のお客さまとの関係性を縮められると考えました。
──現在までの反響は。また人気コンテンツはどういったものですか。
井口:ダウンロード数468万件、登録顧客数312万人、MAU55.5万人(2022年11月末時点)と、スマホサイトやPCブラウザのユーザーがアプリに流れているという時代背景もあって伸長しています。
美容に関する記事コンテンツも拡充し、さらなる利用者増に繋がりました。こういったアプリをゼロからつくろうと思っても1年では難しいと思います。先を見据えて16年頃から構想していたことで、結果としてコロナ禍でも利活用しやすかったですね。
瀧明:人気コンテンツである「パーソナルAIメイクアドバイザー」はコロナ前の19年4月のローンチです。その他の「パーソナルファンデーションカラーチェック」「AIアイブローシミュレーター」「AI未来肌シミュレーション」も、構想自体はコロナ以前に着手しています。
店舗のBAや口コミから、「自分の肌のことを知っているようでわかっていない」「どういう美容が適しているのか正解がわからない」というお客さまの声がある中で、AI解析によるサービスによってその悩みに応え...