1992年設立の銀座ステファニー化粧品は、通信販売を主な販路とする中、2022年に相次いでPOPUPへの出店を行った。単なる販路拡大ではなく通販の購入者を増やす目的で「タッチ&トライ」ができる体験型の出店に手ごたえを感じたという。新規獲得事業を統括する島田雄一郎氏に話を聞いた。
リアル店舗でのPOPUPも最終的なCVは通販に
──まず、主力商材や主な購入層について教えてください。
社内の事業体としては大きく2つあります。一般流通部門ではQVCという通販専門チャネルでの販売の他、「CNP Laboratory」という韓国ブランドを中心に、ドン・キホーテやコストコなどで販売。お客さまの年齢層は10〜20代です。一方、私が所属している通販事業部門はテレビ通販での販売を中心に、収録ブランドの「ODELIA(オディリア)」をはじめオールインワンジェルやクッションファンデーションなどを展開しています。こちらのお客さまは50〜60代のシニア層の方がメインです。
──通販が主な販路だったところから、積極的にPOPUPへの出店をはじめている背景は。
今まで私たちがアプローチできていなかった40代以下の新しいお客さまを獲得する施策の一貫です。創業以来、テレマーケティングによる販売が中心で、現在も売上の大部分を占めていますが、2020年からはSNSに注力する施策を打ち出しています。
それは、デジタルでもお客さまとのコミュニケーションを図り、ECでの購入を伸ばすという課題からでした。SNSで接触するお客さまのボリュームゾーンは30〜40代。テレマーケティングとSNSでご案内する商品を使い分けることで、2021年にはWeb全体に占めるSNS流入の売上を前年7月比で2%から15%に伸ばすことに成功しました。
とはいうものの、当社は通販でしか販売していない商品も多くあります。現在、新しいお客さまを獲得するフックになっているのは、クッションファンデーションです。さらに売上を伸ばしていくためには、商品のタッチ&トライができる場を創出して、購入前に商品を試してもらうきっかけをつくることが重要であると考えました。
──商品を実際に手に取ってもらうには、自社の店舗を持ったり、流通で卸し先を増やすという方向もある中、POPUPにこだわった理由は。
あくまで私たちの販売チャネルの中心は通販です。最終的なCVポイントを通販にするためにPOPUPにこだわりました。企業によっては販路を広げる目的でPOPUPを出店するところもあると思いますが、私たちはそのつもりはありません。最終的に通販でお買い上げいただくための認知を広げる入口として...