ZMOT時代はSMOTの疑似体験世界 消費者に選ばれる意味的価値
SNSの発展は、インターネット上で消費者同士の繋がりを促進。消費者自らの情報の受発信を可能にし購買行動にも大きく影響を与える。このような環境下を勝ち抜き、多くの消費者に商品を選んでもらうため消費者起点で販売プロモーションを企画する視点をマクロミル安野将央氏が説明する。
Z世代が常日頃から浴びている情報の量・密度・速度が増すなか、プロモーションで有効な接点を築くためには、彼らの直感センサーに働きかける必要がある。直感的な消費行動を指す「パルス型消費」のインサイトとは?SNSトレンドにも精通するマーケティングプランナーの山口夕依氏が解説する。
Z世代を対象に、直近の購入品とそのMomentをヒアリングすると、直感センサーのユニークさに毎回驚かされます。「Qoo10のメガ割中にTikTokでバズっていたので買いました!」「ドンキで見つけて想像つかないので一度買ってみました!」一聴すると慎重な比較検討をただ省略しているかのようですが、その裏に隠されたインサイトを的確に捉える必要があります。
Z世代には「“受動的”に情報収集」するパルス型消費や、「“店頭で”即断即決」するパルス型消費が目立ちます。また、ZMOT(Zero Moment of Truth)のみならずFMOT(First Moment of Truth)やSMOT(Second Moment of Truth)それぞれのMomentで反応する直感センサーについても、Z世代特有のものが見受けられます。
ZMOTについて語られる時、情報収集は“能動的”なものが中心とされますが、TikTokとInstagramをアクティブに利用するZ世代の場合、“受動的”な情報収集がZMOTとなるケースが多いです。そこで欠かせないのが「強制認知」ではなく「好感認知」の獲得です。
そもそも受動的な情報収集とパルス型消費が目立つようになった裏側には、SNSコンテンツが静止画から動画へと移行した背景があります。動画コンテンツによって接触回数の法則は崩壊しているため、1回の接触でも十分な「刺激と信頼」を与えて、Z世代にとっての「正解」として認知される=「好感認知」を獲得できれば、パルス型消費を促せます。
また、ZMOTが重視される一方で、Z世代の場合はFMOTで即断即決するパルス型消費も目立ちます。その背景には「タイムパフォーマンス(タイパ)」の意識があります。特定の実店舗やECに「とりあえず来店して購買することが習慣化」しており、そのほうが能動的に情報収集して悩むよりも「タイパがよい」という考えがあります。Z世代のFMOTが特に発生している実店舗やECには3パターンあります。1つ目は「品揃えとテスターが充実している」実店舗です。
例として、@cosme TOKYOでは圧倒的な品揃えとテスターが用意されているため、友達と一緒にリアルタイムなレビューを共有してまとめ買いすることができます。2つ目は「品揃えと店頭映像が充実している」実店舗です。例として、モニター映像やPOPが充実しているドン・キホーテなどがあげられます。
3つ目は「品揃えと絞り込み検索が充実している」ECです。例えばZOZOTOWNでは非常に細分化された絞り込み検索に加えて、お気に入りブランドのみを...