ZMOT時代はSMOTの疑似体験世界 消費者に選ばれる意味的価値
SNSの発展は、インターネット上で消費者同士の繋がりを促進。消費者自らの情報の受発信を可能にし購買行動にも大きく影響を与える。このような環境下を勝ち抜き、多くの消費者に商品を選んでもらうため消費者起点で販売プロモーションを企画する視点をマクロミル安野将央氏が説明する。
デジタル技術の発達により、新しい買物の形が登場する時代。中でも、コマース&販促で、注目されている「ライブコマース」「E-コマース」「デジタルキャンペーン」の各接点において、生活者はどんな買物の“ツボ”を押されているのか。博報堂買物研究所 所長の垂水友紀氏が解説する。
まず1つ目は、認知した瞬間に購入するという新しい買物体験を生み出した「ライブコマース」について説明します。
ライブコマースの特徴は、出演者と視聴者がライブ配信上でリアルタイムに対話ができる「双方向的なコミュニケーション」と、E-コマースを活用した「即時購買機能」が掛け合わさることで、「納得感のある衝動買い」を生み出すという点です。
ライブコマースに時間を割いて視聴しにきてくれる人は、出演者のファンというのが大前提。そこに加えて、紹介される商品にちょっと興味があるという状態です。そして、出演者と対話しながら、商品について知りたいというモチベーションで視聴を行います。
そのため、買物シナリオは、「出演者への興味」を「商品への興味」にいかに転換していくかが、大切なポイントになります。商品訴求を急ぎたくなるところを堪えて、「視聴者が見たくなる・参加したくなる設計」を心がけることが大事です。
例えば、出演者であるインフルエンサーが商品開発に関わることで、出演者と商品がぐっと近くなり視聴者の商品への興味の熱量は高まります。
買物の“ツボ”は、特別なディスカウントやインフルエンサーファンに響く特別グッズなど、ライブコマースを見ることによって得られるメリットをできる限り伝えることが大切です。
また、商材によってもツボは違います。食品・プチプラコスメなどの低価格商品については、「まず試し買いをする」という行動が起きやすく、ライブ中に「買った」というコメントが出ると加速度的に購買が増えます。逆に、自動車・家電などの高価格商材に関してはその場での購買は起きにくい傾向にあるため、来店時に使えるクーポンなど、購入の手前でお客さまがアクション出来るモノを設計することが大切です。
2つ目は、コロナ禍で大幅に伸長し定着した「E-コマース」です。
E-コマースの特徴は、ある程度「自分が欲しい物のアテがついた段階の人」が多いことです。カテゴリーやブランド名を直接検索し、結果、ページのファーストビューに表示されるECにアクセスします。たどりついたECで買うかどうかは、レビュー数の多さ・評価の高さを重視し決める「レピュテーション購買」をする人が大半です。
最近では、E-コマースリテラシーが上昇し、大手のECモールを...