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購買の瞬間を捉える 集客・プロモーションとは

ZMOT時代はSMOTの疑似体験世界 消費者に選ばれる意味的価値

安野将央氏(マクロミル)

SNSの発展は、インターネット上で消費者同士の繋がりを促進。消費者自らの情報の受発信を可能にし購買行動にも大きく影響を与える。このような環境下を勝ち抜き、多くの消費者に商品を選んでもらうため消費者起点で販売プロモーションを企画する視点をマクロミル安野将央氏が説明する。

消費者が商品の価値を判断する「瞬間」は購買行動プロセスの中で3つあるとされています。第1の瞬間(First Moment of Truth:FMOT)は、商品を店頭で購入してもらう瞬間、第2の瞬間(Second Moment of Truth:SMOT)は、購入後に実際に商品を使用する瞬間です。そして、もうひとつの瞬間は、第0の瞬間(Zero Moment of Truth:ZMOT)と呼ばれる、インターネット上での情報接点です。こうした商品価値を判断する瞬間は、時代とともにその考え方が進化してきました。

ZMOTでシフトする商品価値の判断

Eコマースによる購買は、店頭で購入しないため、一部の消費者にとっては第1の瞬間は存在しないとも言えます。コロナ禍でさらに加速し、購買行動のオンラインシフトが進んでいます。そして、商品購入前の情報収集源においても、インターネットのプレゼンスは年々高まっています(図1)。これは、店頭で商品を確認して選択するというスタイルから、インターネット上で商品価値を判断するスタイルへの変化を表しています。

図1 商品購入前の情報収集チャンネル
[出所]
図1 生活動向に関する調査
調査主体:エイトハンドレッド
調査方法:インターネット調査(マクロミルリサーチパネル)
調査対象:全国15〜69歳の男女
サンプルサイズ:10,000
調査時期:2020年1月、2021年1月、2022年1月

ソーシャルメディアの発展によって、他者の商品レビューを確認することができるようになりました。特に着目すべきは、YouTubeやTikTokなどの動画メディアの台頭です。情報量が増加する現代は、第0の瞬間(ZMOT)で様々な商品の第2の瞬間(SMOT)を疑似体験できる環境に進化していると言えます。つまり、ZMOTの段階で価値を認識してもらうだけでなく、SMOTで意図した評価を獲得し、情報の循環をつくることが競争を勝ち抜くために有効ということです。

消費者が買うのは効用の期待値

消費者研究では、消費者が商品の価値を認識する側面は、4つあると...

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