新型コロナウイルスの水際対策が10月11日より大幅に緩和され、制限はほぼコロナ禍前の状態に戻ることになった。復活が期待されるインバウンド消費について、大丸松坂屋百貨店と山芳製菓の2社に、どのような取り組みを進めているのか、また、今後の展望について話を聞いた。
10月の訪日外客者数は約50万人に到達
──まずは担当されている業務について教えてください。
木村(大丸松坂屋百貨店):私は全国の大丸・松坂屋のインバウンド(訪日外国人旅行者)をメインで担当しています。具体的にはインバウンド全体に対する戦略の策定、販売促進、免税制度の対応を含むサービスです。
加藤(山芳製菓):当社で製造・販売している「わさビーフ」のブランドマネージャーを務めています。「わさビーフ」は1987年の発売から、今年でちょうど35年目になります。緑色のパッケージと独特のキャラクターが目印の商品として親しまれており、わさび味のお菓子のなかで人気No.1に選ばれました※。わさびは「WASABI」と英語にもなっており、日本でのお土産として「わさビーフ」を購入される方がとても多いです。
※日本マーケティングリサーチ機構調べ
調査概要:2021年1月期_ブランドのイメージ調査
──インバウンドが増えている実感はありますか。
木村:日本政府観光局(JNTO)が発表した2022年10月の訪日外客数推計値によると、10月の訪日外客数は49万8600人と、前月20万6500人から倍以上の伸びとなっています。免税店販売額は想定した推移よりも1カ月程前倒した上昇傾向となっています。
加藤:10月11日より、日本政府が個人旅行の受入れや査証免除措置の再開等を実施したことを受け、当社の商品を扱っていただいている小売店でも期待が高まっているように感じます。先日もあるコンビニエンスストアチェーンさんで、特にインバウンドでの来店が見込まれる店舗向けに、通常の注文とは別口で「わさビーフ」を発注いただきました。
──具体的なインバウンドへの取り組みについて教えてください。
木村:コロナ禍が長期化し、2年半ほど海外旅行客の方を受け入れる機会が減りました。そのため、改めて社内での啓蒙活動を行っています。例えば、日本の免税制度について免税カウンターだけでなく、全スタッフがお客さまに質問されたときにお応えできるよう、Q&A形式で理解できるようまとめています。また、言語の壁についても店頭に設置している翻訳ツールやコロナ禍前に活用していた指差しコミュニケーション用のシートの再使用を促しています。いずれも海外からのお客さまが多かった時期に実施していたものです。
新しい取り組みですと、特にインバウンドの来店者が多かった大丸心斎橋店は多言語対応Webサイトを...