関西地区を中心にドラッグストアを展開するキリン堂は、2021年より新規事業としてリテールメディアに取り組んでいる。同社の狙いや成果について、経営改革室長 寺西廣行氏に話を聞いた。
DX推進を契機にリテールメディアへ参入
──キリン堂でのリテールメディアの取り組みについて教えてください。
キリン堂は、1955年の創業以来、「未病」というテーマを掲げ、関西地区を中心に392店舗のドラッグストア・調剤薬局チェーンを展開しています。私は経営改革室長として、社内の構造改革や基幹システムをはじめとしたシステム設計、それに伴う業務改革や、新規フォーマットの店舗展開、DX推進や新規事業提案を行っています。
当社では「K.ads」というデジタル販促プラットフォームを新規事業として行っています。これはキリン堂独自のデータベース・広告・販促・店舗ネットワークを活用し、出稿企業のブランドを“共に”育成することを目的としています。現在は自社メディアであるアプリやメルマガ、店頭での展開といった購買に近い施策の他、YouTubeの動画広告やエフエム大阪(FM85.1)でのラジオCMなど認知強化と組み合わせ、フルファネルでサポートを行っています。
──「K.ads」はどのような経緯でスタートしたのですか。
DXへの取り組みを推進したことが契機となりました。会員カードを2014年に始め、同時にID-POSの導入を進めてきました。3年前には公式アプリをリリースし、現在MAU(Monthly Active Users)は80万人を超えています。売上のうち8割以上は会員の方が購入されており、高い会員化率を誇っています。こうした資産は今までクーポンの出し分けや1to1でのコミュニケーションに活用していましたが、マーケティングや宣伝などともリンクさせていきたいという構想があり、リテールメディアの事業をスタートしました。
2021年から始めましたが非常に好調です。本年も前期に対し、2倍ほどの規模で事業成長しています。
──リテールメディアとしてはどのような特長がありますか。
当社だけではありませんが、デジタルと店頭を組み合わせることで、広告の...