2020年にコンビニで販売され、瞬く間に人気を博したアサヒコの「豆腐バー」は、今年からスーパーでの販売も開始した。豆腐という、価格以外での差別化が難しい商品の中でも異彩を放つ「豆腐バー」は、どのようにしてスーパーに展開していったのか。アサヒコの池田未央氏に聞いた。
コンビニでの成功を機に増産体制を拡張
──ご担当の業務を教えてください。
プラントフォワード事業部という部署で、植物志向の商品を企画し、製品化しております。元々当社は豆腐や油揚げを販売している会社でしたが、豆腐をそのまま売るのではなく、植物性のたんぱく源である、という側面を打ち出した商品を手掛けています。
──「豆腐バー」はどのように生まれたのでしょうか。
2018年に、私が出張で訪れたアメリカのスーパーで肉や魚と同じような位置づけで、硬い豆腐が売られているのを目にしたのが「豆腐バー」誕生のきっかけです。
アメリカでは、豆腐はたんぱく源として考えられており、日本のものより硬いタイプが主流。以前から日本市場では、豆腐・油揚げの売上が減少傾向にあり、どうにか活性化できないかと考えていたところでした。そこで、これまでの日本食としての豆腐のあり方を見直し、新しい食べ方があるのではないかと思い、「豆腐バー」づくりに着手。翌年2019年の秋には試作品が完成したため、セブンイレブンに持ち込みました。
セブンイレブンもちょうど肉や魚以外のたんぱく源を商品として並べられないかを検討されていたタイミングだったので、非常に好感触でした。ですが、試作品はたんぱく質の量が8gと少なかったことや、今のものより柔らかかったため、片手で食べられることや食べ応えを増やすことなど宿題もいただきました。それを改良し、2020年に商品化が決定。まったく新しい商品だったことから反響も大きく、多くのメディアに取り上げられました。
これまでつくっていた工場では生産が追い付かなくなったため今年1月からは生産ラインを増強してスーパーへの展開にも力を入れております。7月末時点で累計2000万本以上販売することができました。
売れば売るほど、水物売り場の売上が向上
──スーパーへの展開はどのようにされましたか。
コンビニで売れたことでかなり話題になっていたため、むしろコンビニだけでなくスーパーにも卸してくれないか、と言われるくらいでした。
商談自体はスムーズに進みましたが、コンビニとスーパーではユーザーが異なるため、当然売り方も異なります。スーパーではどこの売り場でどうやって売るのかも見当がつかないのではないかと思い、コンビニとは別に提案用資料も改めて作成しました。店舗によっては水物売り場だけでなく、サラダなどと一緒に総菜売り場に置いているところもあります。水物売り場では料理に使うために買う方や、家族分のまとめ買いが見られる一方、総菜売り場ではコンビニのように自分用に買ってそのまま食べる方が多いようで、売り場によってもニーズやユーザーが異なっています。
また、今までにないタイプの商品ですので、商品内容がわかるように販促の什器やPOPを用意してしっかりと目立つよう、売り場づくりから提案。食べ方がわからない方のために、料理に使う場合のメニュー紹介も行いました。
──店頭に並べてもらうために、どのようなことをされていますか。
豆腐などの水物は、売上が...