最終審査員総評
今年の販促コンペは激戦でした!販促は長い歴史の中で先人たちがあらゆる手口にトライしてきたわけだけど、知恵を絞ればまだまだ新しいアイデアは生まれるんだ!と改めて気付かせてくれる、勇気をもらった審査でした。複雑な構造をシンプルな構造にしていくスキルが全体を通じてかなり向上したという印象。結局、生活者に刺さる「何か」は一言で表されるモノじゃなければならないのだけれども、その一点に絞っていく選球眼の良さと、余計なものをバッサリと削ぎ落としていく潔さが光っていた。
最終審査に関わらせていただいて3年。今年が一番ワクワクしました。二次審査を通過した94点の企画のどれもが非常にレベルが高く、かなり真剣に悩みました。非常に難しい企業の課題に素晴らしい解答を導き出した企画や今まで気が付かなかった発見に溢れた企画など。どの企画も輝いていて絞り込むのに苦労しました。
最終審査でも落とすのがもったいなくて、どれが受賞してもおかしくない企画ばかり。それでも最後に輝きを放ったのは、方法論ではなく人を動かすアイデアが際立つものでした。企業の課題と生身の人間を結びつける驚きや愛情に溢れた企画でした。残念ながら賞を逃した企画もどれも素晴らしいものでした。捲土重来を期待しています。
今年はどの作品も素晴らしい出来で選ぶのに大変苦慮しました。体験設計がしっかりできていて、なるほどその手があるかと腹落ちするものが多数見受けられました。デジタルチャネルの活用方法も洗練され、それ以外のチャネルやお客さまの五感を気持ちよく刺激する。しかも企画者の世代交代も感じられました。この調子で、これからの上質な顧客体験設計を販促企画で実践してください。そして、皆さんこれを実行しちゃいましょう!
今年は本当に素敵な企画が多く、個人的にも悩みに悩んだ審査になりました。全体的に手触り感のある、温かさを感じる企画が多い印象で、コロナ禍を経て、リアルのふれあいを渇望している世の中のインサイトを感じました。
一方で、新しい商品やブランドとの最初の接点はSNSであることが主流です。そのため企画が「写真や動画で共有しがいがあること」も欠かせないポイントであり、だからこそ体験設計における視覚的な魅力は非常に重要だと考えます。誰かに共有したくなる、そして参加したくなる“隙”を組み込み、提供することも企画には欠かせない視点になっているのではないでしょうか。
コロナ禍に困惑する時期を乗り越え吹っ切れた反動でしょうか。今年は、企画者自らが「これなら楽しめる」という純粋な気持ちが乗っかっていた印象です。
グランプリの「オセリポ!」にはその気持ちを強く感じました。また、何かを足すのではなく、もともとあった「必殺技」というオセロの価値に光を当てている点が素晴らしいです。販促を考える際に「この商品には何か隠れたいいところがあるはずだ」という視点で向き合い、それを引き出して輝かせるというのは重要なスタンスだと思っています。そして、その良さは怠惰で動きたくないターゲットを動かすことができるか?も大事ですね。社会課題に向き合う企画もありましたが、ターゲットは大義じゃ動かないのでこのあたりはこれからが楽しみです。
今年は昨年と変わり、最終審査に残った多くの...