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ニューノーマル 人の心を動かす接客術

キーワードは『おもてなし』と『共感』 売り込まずに売る接客のコツ

茂木久美子氏(グローバルゲンテン)

オンラインでの接客が広がりを見せる中、実店舗での接客もこれまで以上に、気遣いやきめ細かさが求められている。顧客に寄り添い、心地よく買い物をしてもらうために、重要な要素とは何なのか。グローバルゲンテン代表・茂木久美子氏が、リアルでの接客の極意を解説する。

いきなりですが、問題です。「おもてなし」と「サービス」は、何が違うでしょうか?

「おもてなし」の精神が、感動を与える大事な要素

以前、私が新幹線の車内販売の仕事をしていたときのこと。一号車貸し切りの団体のお客さまを担当していました。その中の一人のお客さまから掛けられた、「今日誕生日でさ!アイスを売ってくれ!」という何気ない一言に、私の「おもてなし」アンテナが発動。段ボールに自前の付箋を貼り、他のお客さまへこそっと、「あちらの席に座っている誕生日のお客さまに気付かれない様、メッセージを書いていただけないか」と書き、お客さまにお願いをして回覧しました。

後日、会社に一通のメールが届きました。そこに書かれていたのは、「あの日のお姉さんへ。皆さんに祝福され、色紙のプレゼントまでもらい、本当に嬉しい気持ちをくれました。ありがとう。」という感謝の言葉でした。

さて、先ほどの問題の答えですが、「おもてなし」と「サービス」の違いは、相手に喜んでもらいたい強い気持ちが込められ、合理化や利益追求ではなく、手間ひま・まごころ・義理人情の奉仕精神があるかどうか、です(図1)

図1 おもてなしとサービスの違い
見返りを求めないおもてなしの心を持って接することで、期待を超えた接客を実現できる。

新幹線で私がしたのは「おもてなし」です。お金のかからないことであり、アイデア次第で誰でも喜ばすことができる。良い接客のためには、この「おもてなし」の心が重要です。この、「おもてなし」を身に付け、接客力を向上させるには、自ら考え、行動に移せる環境が大切。そのためには、発想力・即興力・展開力を鍛え、お店や会社の風土として現場の声を大切にしながら、その環境を整えることが必要になります。

トライ&エラーを繰り返し接客を進化させる

また、良い接客にはお客さま目線も重要です。

先日こんな質問をいただきました。「お客さまに口コミを書いていただいたのですが、返事に困る内容だったので、返信すべきか悩んでいます。」

内容は、「料理は普通で、会社の会食で利用しました。」という、お褒めでもお叱りでもないものでした。ここでもし返信しなければ、お褒めのコメントにばかり返信し、それ以外には返信しないということが目立ち、お客さまの意見を粗末にしているようにさえ見えてしまいます。これでは、お客さま目線ではなく、自分たち目線ですよね。お客さまになりきることはとても難しいですが、普段接客している私達も、コンビニやホテル、飲食店などで、相手にどのようにされたら嬉しいのか、どんな声がけが...

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