顧客を「共犯者」と位置づけ、ファンとの深い関係性を培ってきたALL YOURS(オールユアーズ)はいま、新たなコミュニケーションのあり方を模索している。ブランドコンセプトへの熱量ではなく、商品(プロダクト)に対するファン形成を目指す代表の原康人氏に口コミの重要性を聞いた。
ブランドが好きではなく、商品が好きへ
──オールユアーズとはどういったブランドなのでしょうか。
2015年7月に設立し、7周年を迎えました。「朝起きたらなぜかそれを着てしまう」というように、オーバースペックではなく、毎日着たくなるような、日々の生活に溶け込むような服づくりを目指しています。代表的な商品に、アイロン不要のセットアップや、柔らかな履き心地の「ハイキックジーンズ」などがあります。いまでは、10〜70代まで、年代や性別にかかわらず幅広いお客さまがいます。
──昨年10月末に会社としての転換期を迎えられました。
2017年5月から、24カ月連続でクラウドファンディングを実施し、商品にまつわるストーリーを発信して、共感してくれた人にオールユアーズの世界観に参加してもらう仕掛けを行うなど、強いファンに支えられているブランドとして認知が広まりました。ただ、共同代表が辞任し、ブランドとしての活動についても見直しを行いました。
これまではアプリやオンラインの繋がりを活用した双方向のコミュニケーションに力を入れ思想的な「共感性」によって拡散がされていました。もちろん、顧客との関係性や顧客体験を重視した結果、ファンに支えられてきたのは事実ですが、これからは「プロダクト=商品」に対して好感を持つファンを増やしていきたいと考えています。
これから目指しているのは気に入って安心して長い間着ることができる洋服である「愛用服」をつくる「愛用服メーカー」としての立ち位置です。こうした同じものを長く売るためにはトレンドに左右されないことが重要です。しかし、実はこれまで行っていたファンとのコミュニティすらトレンドになっているのではないかと気が付きました。

2015年7月に設立し、7周年を迎えるオールユアーズ。人気商品にセットアップやジーンズなどがある。
商品の良さこそ口コミで広がる
──商品のファンになるとは具体的にどういったイメージでしょうか。
私が想定しているオールユアーズの本質的なファンは、世の中にはまだ出ていない...